独自のウオッチメイキングで欧米ブランドとは異なる進化を続けてきた日本の時計ブランド。ここ最近、注目を集めているのが、長い歴史の中で育まれた、日本の“伝統工芸”を取り入れた時計だ。
漆(うるし)、和紙、江戸切子など、時計に採用された伝統技術は様々だが、日本ならではの美意識や、匠の技を手軽に楽しめるのが魅力だろう。
今回注目したのは、そんな伝統工芸のなかでも、特に腕時計と相性が良い“金沢箔”を採用したモデル。日本発のキャラクターコラボ専門ブランド、GARRACK(ギャラック)からリリースされた、『鬼滅の刃』モデルの新作だ。
“宇髄天元(うずいてんげん)”のほか、“時透無一郎(ときとうむいちろう)”、“甘露寺蜜璃(かんろじみつり)”と、3モデルがリリースされている。
【画像】型違いで3機種、国産機械式『鬼滅の刃』モデルのデザインを見くらべる

■Ref.SMS-47-KY-UT。SS(47mm経)。自動巻き(MIYOTA Cal.82S5)。5気圧防水。7万7000円
GARRACK (ギャラック)
『鬼滅の刃』S-MEISTER 機械式時計 宇髄天元モデル
400年以上の歴史を誇る伝統工芸、“金沢箔”を文字盤に採用し、アニメ「鬼滅の刃」のキャラクターを、時計のデザインに落とし込んだコラボウオッチ。
写真は、人喰い鬼を狩る剣士が集まった政府非公認の組織“鬼殺隊”の柱(最高位に立つ九人)、元忍者の音柱“宇髄天元(うずいてんげん)”をモチーフにしたモデルだ。
手作業で職人が仕上げた文字盤、日輪刀をモチーフにした時分針など、キャラクターごとに異なるデザインを採用し、時計としての品質にもこだわった、本格志向の仕上がりとなっている。
【画像】キャラクター違いで3機種、『鬼滅の刃』モデルのデザインを見比べる
【注目ポイント1】職人謹製、1枚ずつ手作業で仕上げる“金沢箔”文字盤
本作の最大の魅力となっているのが、 400年以上にわたって金沢で受け継がれてきた伝統工芸 “金沢箔”の銀箔を採用した文字盤だ。
金属塊を約0.1マイクロメートル(1mmの1万分の1)の薄さまで打ち延ばした金や銀の箔を使用して、漆工芸や仏壇仏具、さらに織物や九谷焼などさまざまな工芸品が製作されているが、『鬼滅の刃』コラボモデルでは、この”金沢箔“の銀箔を文字盤に採用。
熟練の伝統工芸士が製作を手がけており、モチーフとなったキャラクターごとに異なるデザインで、職人の肌感覚で銀箔の貼り付けや、彩色を施している。
驚きなのは、文字盤の装飾がすべて手作業で仕上げられている点だ。
“宇髄天元”モデルは、文字盤に天元の左目にある模様を大胆に取り入れたデザインを採用しているが、この模様は、銀箔を貼った文字盤に手作業で薄く下絵を描き、乾燥させた後、さらに彩色を施して完成される。
真鍮の文字盤に銀箔を貼って下地を製作するだけで約1日。そこから更に、装飾を施して仕上げをしていくのだが、下絵を含めて手作業で製作されるので、その風合いがすべて異なる、ユニークピースとなるわけだ。
周辺部分の色合いをわずかに薄く仕上げることで、同じ色彩で濃淡を生み出しているのが、なんとも美しい。
文字盤には、日輪刀の鍔(つば)をモチーフにしたスモールセコンドのほか、二刀流の日輪刀を模した時分針(出刃包丁のようなフォルム、刃の部分黄色い部分も再現)、12時位置に“ムキムキねずみ(宇髄天元をサポートする忍獣)”、額当ての輝石がモチーフになったインデックスを配置。
手作業で丹念に仕上げられた着色銀箔文字盤はもちろん魅力的だが、ディテールのデザインや作り込みにもこだわりが光る。
【注目ポイント2】存在感抜群だが、着け心地の良いトノーケース
流線形のトノーケースは47×39mmサイズで、ステンレススチール製。ベゼルやラグにカットクリスタルをセッティングすることで、文字盤に負けない存在感を主張している。
縦のサイズが手首の内側に納まる47mmで、ラグが短めに設計されているため、見た目のインパクトはかなり強いが装着感は良好だ。
型押しのレザーベルトにもこだわりが光る。宇髄天元が元忍者なので、アクティブな動きにも対応できるようにと、裏面にラバー仕立てを採用。ラバー部分に日輪刀を思わせるテクスチャーを施すことで柔軟性と通気性を高め、汗が気になる夏場でも安心して装着できる。
ケース、裏ブタはシースルーバック仕様となっており、『鬼滅の刃』のロゴを透かして、自動巻きムーヴメントのメカニカルな造形を楽しめる。
【画像】型違いで3機種、日本伝統“金沢箔”文字盤を別アングルで見る
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