アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ロレックス
ミルガウス Ref.1019
今回紹介するのは、1960年代末期に製造されたロレックス ミルガウスの2代目モデル、Ref.1019だ。ミルガウスと言えば稲妻型の秒針を思い浮かべる人も多いが、今回紹介するモデルは秒針の先端に赤い矢印のついたシンプルな形状のものが採用されている。
もともとこのモデルは、レントゲン技師や無線技士など、強力な磁気にさらされる環境下での使用を想定したモデルであり、8万A/mに相当する1000ガウスまでの磁束密度に耐えるように設計されていた。モデル名の“ミルガウス”は、フランス語で“1000”を意味する“ミル(mille)”と、磁束密度の単位“ガウス(gauss)”を組み合わせたものに由来している。しかし、その特殊な用途ゆえに一般層からの支持は得られず、販売面では苦戦を強いられたモデルでもあるのだ。

【写真の時計】ロレックス ミルガウス。Ref.1019。SS(37mm径)。自動巻き(Cal.1580)。1960年代製。426万8000円。取り扱い店/コミット銀座
回転ベゼルを備え、武骨な雰囲気であった初代モデルと比較すると、スムースなベゼルにシンプルな形状の秒針、バーインデックスが採用され、非常に落ち着いた印象を与えるデザインに仕上がっている。平面を基調としたケース形状とスリムなラグの組み合わせが他のモデルでは見られないデザインだ。
ムーヴメントには、ミルガウスRef.1019専用に開発された自動巻きのCal.1580を搭載。名機として名高いCal.1500系の耐磁仕様であり、磁気を逃しやすくするための軟鉄製インナーケースと組み合わせることで、高い耐磁性能を実現していた。
本個体のコンディションに目を向けると、ステンレススチール製のケースは、研磨によるヤセも見られず、ケースエッジもしっかりと残っている。また、目立った打痕や傷も見られない良好なコンディションを保っている。文字盤は外周部にわずかなシミが見られるものの、夜光塗料やインデックスに目立った変色は見られない。純正の3連ブレスレットは巻きブレスタイプの構造が採用されており、多少の小傷やヨレは見られるものの、目立った破損や変形は見られない状態だ。
防水ケースと高い耐磁性能を備えたこのモデルは、適切な整備さえ行えばいまなお実用が可能な性能を備えている。電磁波や磁気にあふれた現代でこそ、この時計の性能が求められているのかもしれない。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎コミット銀座