男性用腕時計の原点と言える人気ジャンル、ミリタリーウオッチ。厳密には“軍隊が採用した時計”を指すが、一般的には、軍用時計をルーツとして新たに製作されたモデルや、軍用時計を土台にして民生用に発展したフィールドウオッチを含めて、大まかにカテゴライズされることが多い。
最大の魅力は、機能的で洗練されたデザインだ。ミリタリーウオッチは、その背景に、実際に戦地で使われて発展した歴史をもつ。機能性を追求して発展したことで、ぱっと見て瞬時に時刻が認識できる優れた視認性を備えるようになり、結果的にシンプルでバランスのとれたデザインに進化を遂げている。
近年の動向として、注目したいのは、そうしたミリタリーウオッチの伝統的なフォーマットをベースにしつつ、現代的なアップデートを施したモデルだ。ここで注目したハミルトンの“カーキ フィールド メカ パワーリザーブ”は、そうした進化系ミリタリーウオッチを象徴するモデルだ。
米軍に採用された名作“カーキ”コレクションのDNAを受け継ぎながら、初のパワーリザーブインジケーターを搭載しており、機能とデザインの両面で、完成度の高い仕上がりとなっている。
【画像】予算10万円台まで最強ウオッチGP、“ミリタリー・フィールド部門”3モデルを見比べる
【ミリタリー・フィールド部門:グランプリ受賞モデル】

■Ref.H69509130。SS(40mm径)。10気圧防水。手巻き(Cal.H-23)。14万9600円
HAMILTON(ハミルトン)
カーキ フィールド メカ パワーリザーブ
1940年代にアメリカ軍に時計を供給していたサプライヤーとしての歴史が息づく“カーキ”コレクションの新規軸。機能的な意匠を受け継ぎながら、“カーキ”初のパワーリザーブ表示を備える。
ムーヴメントはETA社が、ハミルトンのためだけに新開発したCal.H-23を搭載。完全に巻き上げた時にリューズが固く止まるのを防ぎ、巻き過ぎによるムーヴメントへの負荷を抑えるスリップスプリングを備えているのも特徴だ。
文字盤9時位置に、パワーリザーブインジケーターを搭載。9時位置に配された赤いパワーリザーブインジケーターはFが満タン、Eで空を示し、最大80時間の標準持続時間を直感的に把握できる。

ミニッツトラック、時分針と秒針の先端、パワーリザーブ針に、オールドラジウムカラーの夜光塗料を塗布。1960年代に製造されたオリジナルモデルを想起させる意匠と、ヴィンテージ感を演出するカラーリングの相性が良い。針の先端が、インデックスや目盛りにしっかりと到達しており、視認性も抜群だ。
ケースは直径40mm、ラグの先端までの上下幅が46mm、厚さが11.95mm。手首に向けて傾斜したフォルム、先端に向けて細くシェイプされたラグが装着感を高めている。
表面には傷や汚れが目立ちにくいサンドブラスト加工が施されている。機能的な役割はもちろんだが、ミリタリーをルーツとする“カーキ”コレクションのバックグラウンドを象徴するタフな質感も魅力的だ。
【編集部:船平が受賞の理由を解説】

デザイン、機能、価格の3拍子が揃った実用時計の秀作
「初のパワーリザーブ表示を搭載しつつ、 “カーキ”コレクションの機能的なデザインを崩していない点が素晴らしい。先端に向けてシェイプされたラグと厚みを揃えたブレスレット、重心の安定したケースによって、見た目から想像できない快適な装着感を実現しています。80時間パワーリザーブの新開発ムーヴメントを搭載しつつ15万円を切る価格なのも魅力です」
【画像】80時間パワーリザーブ確保、新規軸“カーキ フィールド メカ パワーリザーブ”を別アングルから見る
【問い合わせ先】
ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン
TEL.03-6254-7371
【ミリタリー・フィールド部門:ノミネートモデル01】

■Ref. P-38-RSTI-DTGY-BTRK1。TI(38mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal. SEIKO NH36)。6万6000円
PRAESIDUS (プレジダス)
Rec Spec Titanium Version C
ベトナム戦争期のMACV-SOG(特殊作戦部隊)ウオッチに着想を得ながら、現代的に再解釈を加え、タフネスと軽さを両立した、次世代フィールドウオッチ。
ケースに超軽量かつ耐食性に優れたグレード2チタンを採用。4時位置にリューズガードを備えた38mm径のスリムなケースが腕に自然にフィットしてくれる。
直径が38mm、ボックス形のミネラルガラス風防を含めて厚さ11.8mm。チタンケースが軽快な装着感を実現。文字盤全体に夜光塗料が塗布されており、暗所でも抜群の視認性が確保されている。
ムーヴメントには信頼性の高いTMI製NH36自動巻きムーブメントを搭載し、最大41時間のパワーリザーブ、ハック機能、デイデイト表示を備える。
【編集部:堀内が受賞の理由を解説】

チタンケースの軽快な装着感も魅力
「小振りで軽量な38mmのチタンケースを採用し、さらに4時位置にケース統合型リューズ(ケースからはみ出さない仕様)を装備。11.8mmと薄型のフォルムもあって、ストレスを感じさせない快適な装着感を実現しています。現代的な味付けに加え、近年、ほとんど見かけなくなったデイデイト表示を搭載。レトロな雰囲気を加えている点が、マニア心をくすぐります」
【画像】小ぶりな38mmチタンケース、プレジダス新作“Rec Spec”を別アングルで見る
【問い合わせ先】
エイチエムエスウォッチストア 表参道
TEL.03-6438-9321
【ミリタリー・フィールド部門:ノミネートモデル02】

■SS(ガンメタルマット仕上げ/40mm径)。300防水。クオーツ(Cal.VH31A)。14万3000円
UNIMATIC(ウニマティック)
UT4-JDM “アーバンエクスプローラー”
イタリアで2015年に創設された時計ブランド、ウニマティックの日本限定モデル。アーバンエクスプローラーをテーマに製作され、ガンメタルマット仕上げを施したステンレススチールケースに、印字のない固定式ベゼルを組み合わせ、洗練された現代のミリタリーツールウオッチを体現している。
ケースは直径が40mm、厚さは12mm(サファイアクリスタル風防を含めると12.3mm)。重厚なガンメタルマット仕上げのケースがミリタリー感を演出し、男心をくすぐる。300m防水に加え、独自の360°耐衝撃保護システムにより、米国国防総省が制定したMIL-STD-810に準ずる耐久性を備えるのも魅力。
【編集部:船平が受賞の理由を解説】

イタリアデザインの粋を感じる男前なツールウオッチ
「マットなカーキダイアルに、エイジングしたアンティークウオッチの夜光塗料を想起させるフォティーナ仕様のインデックスを配置。ヴィンテージの雰囲気を漂わせながらも、無駄なデザインを廃したミニマルなデザインが現代的な洗練さを感じさます。機械式のように滑らかな秒針の動きを見せるセイコー製の3針クォーツムーヴメントを搭載しているのも魅力です」
【画像】300m防水とミルスペックの耐衝撃性、UT4-JDM “アーバンエクスプローラーを別アングルで見る
【問い合わせ先】
FLOENS TOKYO(フローエンス トーキョー)
https://floens.jp/
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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