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10万円台!【60年代に武術家“ブルース・リー”が愛用したセイコー】 5スポーツ スピードタイマーじゃなかったの?|菊地吉正の時計考

ここに取り上げた個体はヴィンテージセイコーの専門書「JAPAN VINTAGE SEIKO」にも掲載された現物のスピードタイマー

先日、ヴィンテージセイコーの愛好家が「おっ、ブルース・リーが愛用していたとされるスピードタイマーと同じタイプだね」と教えてくれたのが、ここに取り上げたセイコーの5スポーツ スピードタイマーだ。

ヴィンテージのセイコーについては現在、絶賛勉強中の筆者。恥ずかしながらこれがブルース・リーと関連するデザインであることを知らなかったため、早速調べてみたので、今回はそれをお届けする。

そしてたどり着いたのがアメリカの時計ディーラーでヴィンテージウオッチを専門とする「DCヴィンテージウオッチ」のWEBサイト。そこに掲載されていたブルース・リーの愛機に関する記事だ。

それによると、ブルース・リーが実際に愛用していたと思われるセイコーのクロノグラフについては次のように結論づけている。

要約すると以下のとおりだ。
1、文字盤デザインによるモデルの特定
9時位置に「5 SpeedTimer」や青い「5 SPORTS」のロゴが見られないため、日本国内市場向けのスピードタイマーではない。また、夜光塗料のパターン等から、1972年以降に登場した「Water 70 Resist」表記の文字盤でもない。

2、写真の時期とモデルの製造開始時期の合致
ブルース・リーがこの時計を着用している最も古い写真は、1969年5月10日(ワシントンD.C.で開催された全米空手選手権)のもので、セイコーのCal.6139は1969年初頭(あるいは1968年末)から生産されており、写真の時期と整合する。

3、香港ルート(香港仕様の曜日表示)と入手背景の推測
セイコーRef.6139-6010の香港仕様(曜日表示)の広告は1969年半ば頃から登場しており、香港は国際市場向け6139の主要な流通先だった。

4、特徴的なブレスレットの合致
ブルース・リーの写真に写る時計には、オーバル型や円形の穴が開いた「Stelux(ステラックス)社製のラリー・ブレスレット」が装着されている。

彼はほかにこのブレスレットを装着した時計を所有しておらず、1969年以降の写真に見られるこの特徴的なブレスレットも本機(黒文字盤の6139)の特定を裏付ける要素となった。

当時の写真(文字盤ロゴの有無やブレスレットの特徴)とその時期的な整合性を照らし合わせ、日本仕様や72年以降のWater Resist表記を除外した結果、「1969〜1970年製の黒文字盤でRef.6139-6010のProof/Proof」がブルース・リーの愛機であったと結論付けているようだ。

では、ここに取り上げたスピードタイマー、Ref.6139-6011。まったく違うかというとそういうことでもなく、そもそも5スポーツ スピードタイマーというコレクション名は日本国内向け。そのため海外仕様は12時位置のブランド名「SEIKO」の下にあるはずの「SpeedTimer」は無く「CHRONOGRAPH AUTOMATIC」を2段表示。9時位置の「5 SPORTS」のロゴの代わりに「WATER 70M PROOF」だけと一部表示が異なった。つまりモデルとしては同じだがブルース・リーが愛用したのは海外仕様であり、この個体も同型の日本仕様ということになるのだろう。

筆者は以前にセイコーダイバーについて「実は3種類!?【“植村ダイバー”の真相とは】78年北極点単独到達で使用したセイコー セカンドダイバー|菊地吉正の時計考」と題した記事を書いた。こういった偉人の愛用品に関する記述は、やたら気になるテーマで同型モデルの市場価値にも影響するからおもしろい。

【画像】5スポーツスピードタイマーの写真をもっと見る

参照元:DCヴィンテージウオッチ(DCVW)
https://www.dcvintagewatches.com/the-seiko-6139-true-bruce-lee

時計:セイコー 5スポーツ スピードタイマー
Ref.6139-6011。SS(40mm径)。自動巻き(Cal.6139)。1970年製。17万6000円
協力◎JAPAN VINTAGE WATCH SHOP
https://lowbeat.jp/jvw-shop/year/1960/seiko-champion-calender/

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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