
今回は諏訪精工舎製の薄型自動巻き“Cal.56系”を搭載するキングセイコー(第二精工舎製)、その珍しい海外輸出モデルを取り上げる。搭載するのは毎時2万8800振動を誇るCal.5626。キングセイコーの56KSを中心に搭載されたオフィシャルクロノメーター仕様だ。
この輸出仕様だが、おもしろいのは一見するとグランドセイコーの56GSかと思ってしまうほど、その形状が似ている点だ。そのため輸出用として流用しているかと思いきや、ケース構造は裏ブタがスクリューバック仕様のグランドセイコー(56GS)に対して、この個体はケースの気密性や防水性を高めるために裏ブタが外れない、当時のキングセイコーならではのワンピースケースがちゃんと採用されている。
このワンピースケースだが6時位置に備えた精度調整用のハッチの存在も愛好家が一目置く当時ならではの魅力のひとつだ。この精度調整用ハッチとは「外部微動緩急調整装置」を利用するためにケース側面に設けられた小さなネジ式の開口部のこと。

精度調整用ハッチ
ワンピースケースは、防水面では良いが、時計の精度調整(遅れや進み)を行う際には、風防側からムーヴメントを取り出す必要があるため手間がかかる。この弱点を解決するために装備されたものだ。
ハッチは6時側のケースサイドにあってベルトを外すと小さなネジが確認できる(上の写真)。それを外すと調整ネジがあって精密ドライバーで回しながら日差(歩度)の微調整を行うことができる。つまり時計を分解することなく、ケースの外側から調整ができるというわけだ。
なおこの個体は、海外輸出仕様というだけあってカレンダーの曜日表示は英語とスペイン語。ヨーロッパというよりは、どちらかというと南米のスペイン語圏に輸出されていたのかもしれない。
時計:セイコー 56系クロノメーター(海外輸出仕様)
Ref.5626-7100。SS(36.5mm径)。手巻き(Cal.5626)。1971年製。24万2000円
協力◎JAPAN VINTAGE WATCH SHOP
https://lowbeat.jp/jvw-shop/year/1970/lb-260040/

