“47Zero Watches(47ゼロ)”は、コーマック・ヘンリーによって設立されたフランス発、日本未上陸の独立系マイクロウォッチブランドである。 アイルランド出身のコーマックは、2007年に妻と3人の幼い子供たちと共にフランスに移り住み、広告と写真の分野でのキャリアを積み重ねていった。
彼の人生に転機が訪れたのが17年のことだ。47歳のときに脳卒中で倒れたことで、コーマックのキャリアは予期せぬ方向へと変わっていった。
日常生活を送るうえでの能力はある程度回復したが、それでも生活するなかで新たな制限が生まれた。そうした中で、今後の人生を過ごしていくなかで、達成可能な挑戦が必要となったのだそうだ。
そして、コーマックは長期リハビリの間に時計製造への情熱を見出すことになる。彼が創造力を発揮できる分野で、新しい生活形態に適合した活動だったのだ。
彼はスイス・ジュネーブから南に約30分のところに位置するアヌシーで時計製造コースを受講後、23年に妻のグローニャとともに“47ゼロ”を設立する。
“47ゼロ”では“Life>Time(人生は時間よりも大切 )”というブランドのスローガンを掲げているのだが、これは彼自身の夢を最大限に後押しするメッセージとなっているのだろう。個性的でストーリーのある“47ゼロ”の時計は、逆境の中で生まれた創造力と粘り強さを体現している。
今回はフランス・アルプスの中心地、アヌシーでデザインおよび組み立てを行っている、“47ゼロ”から二つのモデルを紹介する。
【画像】ハンドメイドの文字盤で2機種、“47ゼロ”のデザインを見比べる
47Zero Watches(47ゼロ)
ディナー・デイト・アット・エイト
ディナー・デイト・アット・エイトは、 “夕食”をその日で最も重要な時間として表現する、という奥深いコンセプトをもつ時計だ。5時頃から8時までの時間帯にのみ目盛を配置し、家族と日々の出来事を共有して楽しむ夕食の時間を視覚的にクローズアップ。モデル名が示しているように、 8時位置にカレンダー窓が配置されている。
真鍮製の文字盤は手作業で製作されており、彩色から始まり、CNC彫刻、レーザーマーキング、そして最後にポリッシュ仕上げという多段階の工程を経て、スイスの自社工房で製造されている。手作業で少量生産されるため、基本デザインを同じにしながらも、ニュアンスが微妙に異なる、唯一無二の文字盤となっている。
ステンレススチール製のケースはサイズが直径 39mmで厚さ11mm。サファイアクリスタル風防を備え、10気圧防水を備える。
ムーヴメントはスイス製自動巻き、Cal.STP1-11を搭載。 地元フランスの家族経営のタンナーが製作したレザーベルトが付属し、 販売価格は付加価値税別で1042ユーロ(日本円で約17万円)だ。
【画像】“47ゼロ”、ディナー・デイト・アット・エイトを別アングルで見る
47Zero Watches(47ゼロ)
オッド・アワーズ
オッド・アワーズは、私たちが慣れ親しんだ視点だけではない、新たな視点を受け入れる必要性を表現した文字盤が特徴だ。一見、ランダムで時間が見にくい印象を感じるかもしれないが、時間が円と線でクローズアップされているため、時間を瞬時に把握できる。
その反面で分表示は見にくい印象だが、こうしたユニークな時刻表示も面白い。逆説的だが、時間に追われる現代の生活において、存在価値を増しているように思えてくる。
ケースはステンレススチール製で、ベゼルとサイドにポリッシュ仕上げが施されている。 サイズは36mmと39mmの2種類で、いずれも厚さは11mm。サファイアクリスタル風防を装備し、10気圧防水を備える。
ムーブメントはスイス製の自動巻き、Cal. STP1-11を搭載。 地元フランスの家族経営のタンナーが製作したクイックリリースのレザーベルトが付属し、販売価格は付加価値税別で1042ユーロ(日本円で約17万円)だ。
【画像】注目ブランド“47ゼロ”、オッド・アワーズを別アングルで見る
》47Zero Watches(47ゼロ)
公式サイト
https://47zero.com/en/
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/
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