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菊地吉正の時計考_026|なんだこの透明感! 最新作は19世紀の懐中時計を思わせるドイツの名窯が手がけたポーセリンの深く上品な色合い

写真ではケースの色味が出ていないが実際は赤みをおびた18金レッドゴールドである

先日、ドイツの時計ブランド、グラスヒュッテ・オリジナルにお邪魔して10月にリリースされたばかりの新作“セネタ・マイセン”の中から、淡く上品な色味が気になっていたセラドグリーンというダイアルを見せてもらった。

この淡いグリーンの文字盤だが、モデル名からもおわかりのように300年の歴史あるドイツの名窯、マイセンが手掛けたものだ。つまり日本だと九谷や有田で知られるポーセリンというわけである。

極薄の磁器製ディスク(ポーセリンの板)を最初に1400℃で焼成した後、表面平坦度を確保しつつ模様や文字、ローマンインデックスなどのデザイン要素を、職人が細い筆を使って一層ずつ描き何層にもわたって塗り重ねる。そしてより深みのある色合いに仕上げるために、どの層も窯で900℃で焼成する。この透明感ある絶妙なグリーンはこれだけの手間をかけてこそ生み出されるというわけだ。

センターサークルには植物の優美で繊細な曲線をモチーフにしたロカイユ模様が配され、縦長のローマンインデックスに時針はスペード型と、まさに19世紀の懐中時計を彷彿とさせるデザインで品がいい。なお、文字盤をよく見ると6時位置のインデックスはローマ数字のVIではなくマイセンの証として「剣マーク」があしらわれている。

40mm径は手首の細い筆者には少々大きかったが、実際に着けてみると、この淡いグリーンは決して派手な色合いではないものの意外に目を引く。そのため冬のこの時期の華やいだ装いにこそ大人っぽくさりげなく色気をプラスするにはもってこいなのかもしれない。

搭載するのは磁場や温度変化に強いシリコン製ヒゲゼンマイを採用する自社製自動巻きムーヴメントのキャリバー36。100時間パワーリザーブを誇る。そしてサファイアクリスタルのケースバックからは、美しいリブ仕上げが施された4分の3プレートや、バランスコックの手彫り装飾など歴史を感じさせる美しい仕上げがのぞく。ただ、筆者的には日常的に使うタイプの時計ではないだけに、どうせならムーヴメントは手巻きにして欲しかったかな〜。423万5000円(世界150本限定)

【画像】ホワイト文字盤など他の写真もチェック!

協力◎グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座 

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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