近年のダウンサイジング化に伴うドレスウオッチ回帰の流れを受け、再評価が進んでいるアンティーク&ポストヴィンテージ期のカルティエ時計。これまでマストタンク(マスト・ドゥ・カルティエ)、パシャを取り上げてきたが、今回はタンクシリーズの最高峰“タンク ルイ カルティエ”をクローズアップ。
1924年のデビューから誕生100周年を超えたカルティエのアイコンにして、いまもなお当時の意匠を引き継ぐ傑作コレクションの魅力をその歴史を振り返りながら解説する。
【写真全5枚】“タンク ルイ カルティエ”仕様やディテールを一挙に見る
タンクコレクションの原点であるタンク・ノルマル(1919年初出)で確立されたアール・デコスタイルの直線的なケースフォルムを受け継ぎつつ、当初の正方形ケースを長方形に変更して抑揚感とバランスを両立させたタンク ルイ カルティエ。
ケース素材は18金イエローゴールド製の個体がほとんどだが、プラチナやホワイトゴールド製のモデルも存在する。ムーヴメントは70年代まで手巻きを主軸として採用しており、60年代まではジャガー・ルクルトとヨーロピアン・ウォッチ&クロックカンパニー(※アンティーク市場でも極めて流通数が少ない)、70年代は汎用機のETAが主軸となる。

ETAムーヴメントを搭載した1980年代製「タンク ルイ カルティエ」/■Ref.7808。K18YG(30×24mmサイズ)。手巻き(Cal.78-1)。1980年代製。参考商品
よりマニア的な視点から時計を選ぶのであれば、文字盤の仕様違いに着目してみるのも面白い。代表的なのが“パリダイアル”の通称で知られるカルティエ パリが製造した個体だ。これは70年代中盤〜80年代までのごくわずかな期間にカルティエ パリで製造されたことを示すPARIS表記が文字盤6時位置に入っている個体なのだが、後年のSWISS MADE表記が印字された文字盤に交換されていることが多いため、近年は見つかりにくくなっている。
【写真】6時位置に“PARIS”表記が入った希少なパリダイアル
また、ラッカー文字盤に大きなクラックが入った個体や、PARIS表記の交換用文字盤もあるためオリジナル性を見極めることはなかなか難しい。そのほかにも、サファイアカボションリューズにも様々な種類が存在するため、自身の好みに合った個体を探してみるのもいいだろう。

1960年代から登場した「タンク ルイ カルティエ エクストラ フラット」/■Ref.96019。K18YG(30×24mmサイズ)。手巻き(Cal. 21)。1970年代製。参考商品
1960年代に入ると、タンク ルイ カルティエの上位モデルとして“エクストラフラット”が登場している。年代ごとに当時の最高クラスの薄型手巻きムーヴメントを搭載しており、ジャガー・ルクルト製のCal.P838やフレデリック・ピゲ製のCal.21などの高級機が採用された。
通常モデルが厚さ6.5mmなのに対して4mmと薄型の造形に仕上げられたことで、よりエレガントさが際立つ印象。 通常のタンク ルイ カルティエと比べて若干高めの相場(200万円前後)だが、意匠とムーヴメントの両面でひと味違う魅力を備えたモデルと言える。薄さとスペックにこだわりたい人はこちらを狙うのもおすすめできそうだ。
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