アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ジャガー・ルクルト
ラウンド オートマチック
今回紹介するのは、1940年代後半に製造されたジャガー・ルクルトのラウンド オートマチックだ。
文字盤外周には夜光塗料が塗布されたアラビアインデックス、その内側にはレイルウェイトラックが配されており、非常に特徴的なデザインを持つ1本である。紫外線や湿気、夜光塗料などの影響によって経年変化は見られるものの、全体として均一に変化しているため汚らしさはなく、程よい焼け具合に収まっている。
青焼きのローザンジュ針はミニッツマーカーにしっかりと届く長さを備え、文字盤上で主張しすぎない絶妙なバランス感が魅力的だ。秒針には、端部に玉を配したカウンターウェイトを持ち、根元を菱形としたデザインが採用されており、その繊細な仕上げから当時の手間の掛け具合がうかがえる。
ケースは直径32mmのボーイズサイズ。ねじ込み式の裏ブタを採用したステンレススチール製の堅牢な構造で、現在でも実用に耐えうる仕様となっている点も魅力と言える。ただし、各種パッキン類やケース自体の経年劣化が考慮されるため、使用にあたっては水気や湿気を避けることを推奨したい。

【写真の時計】ジャガー・ルクルト ラウンド オートマチック。SS(32mm径)。自動巻き(Cal.476/2)。1940年代製。29万8000円。取り扱い店/ジャックロード
ムーヴメントには、ジャガー・ルクルトが生み出したハーフローター式バンパーオートマチックの名機、Cal.476/2を搭載。内部には錨型のローターと、それを受け止めるショックバネが組み込まれている。この構造はローターがバネに当たる際の振動や動作音が大きく、一部の消費者からは評判が芳しくなかったとも言われている。
しかし、ローターがショックバネに当たった際の反動や、わずかな動きでも作動しやすいハーフローター特有の性質により、巻き上げ効率は見た目以上に優れており、初期の全回転式ローター搭載モデルを上回る性能を持っていたとも言われている。また、構造が非常にシンプルで故障が少なく、高い信頼性を誇っていた点も見逃せない。
ルクルトはこのバンパーオートマチックの技術を成熟させ、後年にはアラームウオッチへの搭載も実現している。自動巻き機構の進化の過程で淘汰されてしまった存在ではあるが、実用においても十分な性能を発揮できる機構であったことは間違いない。
筆者自身も他社製のバンパー式自動巻き時計を所持しているが、腕を振るたびにコトコトとした振動が伝わってくる感触が心地良く、時計が動作している様子を肌で感じられる点が非常に気に入っている。また、ゼンマイが十分に巻き上がると、その反発力によってローターの動きがやや鈍くなり、振動を感じにくくなるという特性もあるようだ。もっとも、メーカーごとにムーヴメントの構造は異なるため、あくまでも参考程度に受け取っていただければ幸いである。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎ジャックロード

