ドイツ時計 小スライド 連載記事 @kikuchiのいまどきの時計考

【日本限定3本】ミリタリー調の端正な顔立ちもいいが、機械もスゴい。これぞドイツ時計!

高級機械式時計のなかでも数百万円レベルの価格帯となると、やっぱり引きつけられるのは工芸的な美しさなのではないか。それを最も実感できるところといえば、俗にムーヴメントと呼ばれ、ケース内に納められている機械そのものである。そしてこれが高額になればなるほど個性と美しさが際立ってくる。

ここに取り上げたモリッツ・グロスマンのセントラルセコンド ジャパンリミテッドもそんな工芸的なムーヴメントを売りとするドイツの高級時計である。19世紀の古典設計にこだわりパーツの90%以上を自社内で製造するというオリジナルのムーヴメントは、完成度も高く実に美しい。

手作業で細部まで施されたとても美しい仕上げと、テンワの回転往復運動する動きはシースルーバックの裏ブタから楽しむことができる

このムーヴメントのメインプレートに使われている素材は、ジャーマンシルバー、つまり洋銀とも呼ばれるもので、経年によって少しずつ黄金色に変化するなど、独特な味わいをもたらす。

しかも、上の写真左側にあるテンプ受けやガンギ車の受けには、とても繊細ながらもしっかりと深く彫り込まれた花模様のハンドエングレーブが施されている。そしてその先端に付いているテンワと呼ばれる車輪のようなものが、常に1秒間に2.5往復(5振動)の回転往復運動をする。

これはシースルーバックと呼ばれるガラス張りの裏ブタから、ちょうど写真のような感じで眺めることができるのだ。そのためこれを見ているだけでもゆったりとした贅沢な気分にさせてくれる。まさにこれこそが高級機械式時計ならではの大きな魅力と言えるだろう。

ミリタリー調のルックスというのもジャパンリミテッドならではの大きな特徴である

さて、このセントラルセコンド ジャパンリミテッドだが、実は3本限定というかなり希少な代物。ベースモデルは大きめのフルアラビアを使った高級ドレスウオッチ。それをあえてケース全面にサテンブラッシュを施したマット仕上げのステンレススチールを採用、文字盤もマットブラックで統一するなど、さりげなくミリタリー調の端正な顔立ちに仕上げられているのがおもしろい。

ひねりをきかせたこの日本限定。400万円台半ばとだいぶ高額だが、もしお金に余裕があるのであれば、一考の価値ありなのではないだろうか。

セントラルセコンド ジャパンリミテッド
SS(41mm径、厚さ12mm)。3気圧防水。手巻き(Cal.100.11)。3本限定。445万5000円

モリッツ・グロスマン ブティック ☎︎03-5615-8185

【関連記事】
■時計愛好家を魅了するドイツ高級ブランドの機械に施されたグラスヒュッテ様式とは!
■“ドイツ・グラスヒュッテ”で製造された時計のロゴの周りには、なぜ町の名前が必ず表示されるのか?
■9社の時計メーカーが林立する“ドイツ高級時計の聖地”グラスヒュッテってどんなところ?

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

-ドイツ時計, 小スライド, 連載記事, @kikuchiのいまどきの時計考