
数万円で買える国産ヴィンテージ第3弾は“クロノス”を取り上げる。1958年に、亀戸の第二精工舎が初めて設計したメンズ向けの基礎ムーヴメントを搭載する本中3針(センターセコンド)の手巻き腕時計。諏訪精工舎のマーベルを超えるべく、さらに薄型化、高精度化を目指して開発されたモデルだ。
手巻きムーヴメントは、従来のチラネジ付きテンワを廃止し、第二精工舎初のスムーステンプへ変更。さらに、テンプを支える受け板を両持ちのブリッジ式とすることでより安定性を高めている。そしてこの設計思想は61年に誕生する第二精工舎の最高級機、キングセイコーのベースになったほどである。
また、クロノスは1960年代の比較的に自由で大胆な当時のファッションに合わせるかのように文字盤デザインもベーシックなものから奇抜なデザインパターンまでかなり様々あっておもしろい。ファッションアイテムとしてクラシックな3針時計を狙うのであれば、デザインに注目して探すのも一考かもしれない。
そしてここに掲載した2本は、クロノスの中でもデイト機能が付いた実用機、セルフデーターだ。

そのひとつ(上の写真)、ゴールドケースタイプは金メッキのケースと金張り仕上げの裏ブタ、そしてアラビアインデックス部分に段差がつけられた段付き文字盤が特徴だ。ちなみにケースにはEGP(Electro Gold Plating)と呼ばれる20ミクロンの電気金メッキを採用する。そのため通常の金メッキより膜厚が厚い仕様となっている。また、肌に直接触れる裏ブタ側には、金メッキよりも厚みがある金張り仕上げを採用することで、剥がれを抑え耐久性を高める工夫が見て取れる。

もう一方のプレーンなスチールケースはボックス型のプラスチック風防に、その3時位置をよく見ると表示窓部分にレンズがあるのがわかる。ロレックスのデイトジャストから着想を得て採用したのかはわからないが、確かに実機で確認するとデイトジャストほどではないものの多少は拡大されて見える程度。そのためレンズの出っ張り自体も正面から見るとわからないぐらいかなり控えめのため、デザイン的には違和感ないように作られている。
クロノスにはほかにも防水性能を高めたシーホースやクロノスとキングセイコーの中間に位置するスペシャル。そしてサン&ムーンなどの特殊なモデルがあったりと奥が深い。ぜひ注目してみてはいかがだろう。
[セイコー クロノス セルフデーター]
Ref.J1401D 。EGP金メッキ(36mm径)。手巻き。1960年代製。9万9000円
https://lowbeat.jp/jvw-shop/year/1960/lb-260021-ja/
Ref.J15016E。SS(36mm径)。手巻き。 1963年製。8万8000円
https://lowbeat.jp/jvw-shop/year/1960/lb-260021/
協力◎JAPAN VINTAGE WATCH SHOP

