【ドイツ時計界のトレンドを牽引】グラスヒュッテ・オリジナルの巧みな色表現

 ドイツ・グラスヒュッテの時計製造技術を途絶えることなく継承し続けたグラスヒュッテ・オリジナル。 そんな同社の時計は近年、類いまれなる色彩センスでその個性をいっそう際立てている。

 

人気モデルのバリエーションを拡大

 2019年、グラスヒュッテ・オリジナルは国営企業だったGUB(グラスヒュッテ国営時計会社)時代に作られたグラスヒュッテ初となるダイバーズウオッチ“Spezimatic”(1969年初出)に範を得た“SeaQ(シーキュー)”を発表。同時に専門的な分野の用途に特化したモデルをラインナップする第5のコレクション“スペシャリスト”を追加するという新展開を見せた。
 翌20年にはこのSeaQのバリエーションを拡大。新たに18金レッドゴールド仕様とバイカラー仕様を追加した。

SeaQパノラマデイト
2019年の話題作SeaQの派生として登場したバイカラー仕様。当時の意匠を再現しつつ、現在のグラスヒュッテ・オリジナルを象徴する機構であるパノラマデイトが与えられた。サンレイ仕上げを施したガルバニックグレー文字盤と、暖かい印象を醸す18金レッドゴールドの絶妙なコンビネーションが魅力。また逆回転防止ベゼルには、レッドゴールドの表⾯に傷がつきにくいセラミックがはめ込まれている。
■Ref.1-36-13-04-91-34。K18RG×SSケース、シンセティックストラップ。ケース径43.2mm。30気圧防水。自動巻き(Cal.36-13)。188万1000円

 とりわけ後者のバイカラー仕様は、グラスヒュッテ・オリジナルで際立っている抜群の色彩センスがいかんなく発揮されたモデルだと言えるだろう。
 大きなアラビア数字インデックスやアロー針など、オリジナルを忠実に再現しオールドダイバーの雰囲気を強く漂わせたSeaQの初作は、近年定番化している復古調デザインのなかでも出色の仕上がりだった。本作はそこからさらに、当時はなかった“バイカラー”という巧みな色使いで新たな魅力を引き出したのである。

搭載キャリバーは36-13。自動巻きローターで覆われるが、その下のベースムーヴメントは4分の3プレートやスワンネック緩急針などが与えられ、グラスヒュッテの伝統に則った仕様だ。またシールスルーバックながら30気圧防水を実現し、ダイバーズウオッチ向けのDIN(ドイツ工業規格)およびISO規格に準拠する

 

 他方、秀逸な色使いで言えば、パノマティックルナの新色も見逃せない。工房の周りに立つモミの木からインスピレーションを得たという豊かなグリーンの色彩は、手作業によって見事なカラーグラデーションが生み出されている。そのなかで輝く銀色のムーン表示がなんとも神秘的だ。伝統を継承しながらも、抜群の色彩センスが発揮されたグラスヒュッテ・オリジナルの時計はドイツでもひと際個性が光っている。

パノマティックルナ
近年グラデーションカラー文字盤で存在感を際立たせているグラスヒュッテ・オリジナル。2020年に発表されたのは、人気モデルであるパノマティックルナのグリーン文字盤仕様だ。中央部分の鮮やかなダークグリーンから外周部のブラックに向かって色が徐々に変化する、この微妙な色合いを実現したのは、ドイツのフォルツハイムにある同社の文字盤マニュファクトリーにいる職人たちだ。
■Ref.1-90-02-13-32-70。SSケース&ブレス。ケース径40mm。5気圧防水。自動巻き(Cal.90-02)。130万9000円

 

 

文◎堀内大輔(編集部)

 

【問い合わせ先】
グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座 TEL:03-6254-7266
公式サイト https://www.glashuette-original.com