芸能人の愛用時計

加藤 茶 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.49)

ロジェ・デュブイのマッチモア クロノグラフ。リューズですべてを操作するワンプッシュクロノで、重厚な雰囲気がたまらない。ロジェらしく世界28本限定

 

国民的スターの加藤さんにも、下積みの時代はあった。ザ・ドリフターズ加入以前は、いわゆるバンドボーイとして楽器の運搬やセッティングなどの雑用に明け暮れる日々。そんな時代から、高級腕時計に対する憧れは強かった。

「当時はエニカやオメガが憧れの時計で、自分で最初に買ったのもエニカでした。バンドボーイで貰っていた給料が5千円だったのに、その時計は1万8千円もしたんですよ。自分としてはかなり頑張った買い物でしたね。ところが仕事で遅くなってアパートに帰る途中、3人組の不良に絡まれて盗られちゃってね。しばらくは眠れないほど悔しかったな。でもそのことがあってから、“いい時計っていうのは、人から奪われるほど価値があるんだな”って再認識したんです。そこから時計を強く意識するようになりましたね」

稼いだお金の多くを注ぎ込んで時計をコレクションするように-----

その後、ドリフの一員として富と名声を得た加藤さんは、稼いだお金の多くを注ぎ込んで時計をコレクションするようになる。都内の一等地に家が買えるほどの金額を費やしたというから凄みがある。最も多かった時期には所有数も200本を超えていたが、メンテナンスや管理が大変だということで、現在は40~50本ほどに落ち着いた(処分時には買ったときよりも高値で売れた珍しい品も多数含まれていたという)。

そのコレクションは豪華絢爛で、パテック フィリップ、フランク・ミュラー、カルティエ、ロレックスなどの名品がずらりと揃っている。取材当日につけていたのはロジェ・デュブイのマッチモア クロノグラフ。大型のレクタンギュラーケースで、重厚でありつつも気品を感じさせる逸品だ。

時計を選ぶときのポイントは、できるだけ他人とかぶらないということ

「懇意にしている時計ショップの方が、シーズンごとに新作をいろいろ見せてくれるんです。そのなかから選んで買うことが多いですね。時計雑誌もふだんからチェックしてます。最近はロジェ・デュブイが気に入っていて、これのほかにも何本か持ってますね」

一時期はダイヤが入った宝飾時計に凝った時期もあったが、最近はシックななかにも強い個性が感じられるモデルを選ぶようになった。時計を選ぶときのポイントは、できるだけ他人とかぶらないということ。 「クレー射撃に凝っていた頃は銃を集めていたけど、今はもうやってないし、コレクションといえば時計だけです。この小さな時計のなかで細かい機械が正確に動いているかと思うと、なんだか無性に愛着が湧いてくるんですよね」

 

加藤 茶(コメディアン)
CHA KATOH 1943年3月1日、東京都生まれ。1962年にザ・ドリフターズに加入し、その後は「8時だョ!全員集合」「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」などの番組で多くのギャグを生み出し一世を風靡する。近年はドラマや舞台での俳優としてシリアスな役柄を多くこなしているほか、仲本工事、高木ブーとともに“こぶ茶バンド”として音楽活動も積極的に行っている。2010年1月5日~27日には、福岡・博多座にて浜木綿子主演の舞台「女将の花道」に出演。

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