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【気になるちょい古時計|No.03】 第2時間帯を小窓に表示するIWCのフリーガーUTC

 連載3回目はIWCを代表するパイロットウォッチコレクションに属し、1999年に発表されたフリーガーUTCを今回取り上げる。ちなみにフリーガーはパイロットを意味するドイツ語だ。

 このフリーガーUTCは、時分針と12時位置に設けられた小窓の数字とで二つの時間帯を同時に表示するUTC(Universal Time Coordinated)機能を搭載したIWC初のモデルである。二つの時間帯を同時に確認できるという点では、表示方法こそまったく違うが、小窓ではなく専用の副時針で時刻を指し示すロレックスのGMTマスター II と同じである。

時分針こそ形は違うが、軍用時計の流れを汲むマークXVと基本デザインが同じ、この点も時代を感じさせる味わいのひとつだ

 文字盤の6時位置に記載されている“TZC”とは、Time Zone Corrector(タイムゾーンコレクター)の頭文字をとったもので、小窓にホームタイムを示す24時間ディスクに影響することなく、自由に時針を1時間単位で単独可動できる機構を指す。そのため時差のあるどの国に赴いても、そこの現地時刻(ローカルタイム)に時針を簡単に合わせることができるというものだ。

 軍用時計然とした見た目もフリーガーUTCの魅力とひとつと言える。時分針こそ形は違うが、アラビア数字やミニッツインデックに太めのものを採用するなど、軍用時計としての流れを汲むマークXVと基本デザインが同じため、時代を感じさせる味わいのある雰囲気もこのモデルの持ち味となっている。しかし、2003年にスピットファイアという名戦闘機の名前を冠し、デザインもモダンになった新コレクションがパイロットウォッチコレクションとは別に追加されたのを機に、スピットファイアUTC(トップの写真左側)も同シリーズにラインナップ。フリーガーUTCはそれと入れ替わるかたちで、パイロットウォッチコレクションから姿を消したというわけである。

夜光にトリチウムが使われている初期生産の個体。12時位置の△マークと時分針の夜光だけが経年変化で焼けてアイボリーがかっているのがわかる

 そんなフリーガーUTCの現在の中古実勢価格を調べてみると、だいたい30万円台といったところ。なお流通する個体の中に12時位置の△マークと時分針の夜光だけが経年変化で焼けてアイボリーがかっているものがある。実は生産初期の個体には、この夜光部分だけにトリチウムが使用されていた(それ以外の部分はルミノーバ夜光)。その場合は6時位置に小さく「T SWISS MADE T」とSWISS MADEの両サイドにTが付いているのが確認できる。ただその後はすべてルミノーバ夜光となり6時位置も「SWISS MADE」だけとなった。もしも狙う際は、こういったところもポイントに探してみると面白いかもしれない。

 最後に、UTC(世界協定時)とGMT(グリニッジ標準時)はどう違うのかについて触れておきたい。細かい説明は割愛するが、端的に言うと前者が原子時計、後者が天文観測による時刻ということから、概念も算出方法もまったく違う。そして現在はより正確なUTCが国際基準として航空会社や通信の世界などでも採用される時刻となっている。ただ、国際協定により、UTCとGMTは同義として認められている。つまり時計の場合も表現が違うだけで同じと考えていいようだ。

IWC
フリーガーUTC
■商品データ
型番:Ref.3251-001(革ベルト)、Ref.3251-002(ブレス)
素材:ステンレススチールケース
ケース径:39mm
防水性:6気圧防水
駆動方式:自動巻き(Cal.37526)
その他:セカンドタイムゾーンを示す24時間のUTC表示
当時の税抜き参考定価58万円(ブレス、1999年)

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菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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