スペシャル

日本未上陸ブランド傑作選/No.14 SINGER(シンガー)


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世界が注目する
新世代クロノグラフ

 見た目も機構も、かなり個性的。“シンガー”というブランドの1本は時計好きの心を引きつけるに、十分な内容を備えていると言えよう。
このシンガーは古いポルシェのレストアとモディファイを専門とする“シンガー・ビークル・デザイン社”のウオッチブランドであり、現在“トラック1”というモデルのみが展開されている。デザインソースは1960年代から70年代に作られたモータースポーツ用のクロノグラフで、所々にクルマを連想させるスポーティな味付けが加えられているのが特徴だ。
 ただ、そのデザイン以上に面白いのが、ムーヴメントである。シンガーのそれは、時計師ジャン・マルク・ヴィダレッシュ氏が起こしたアジェノー社の特注品を採用しており、設計が非常にユニーク。輪列をぐるりとドーナツ状に配置しその中央の空間に、クロノグラフモジュールをセットしているのだ。また、センター軸にある3本の針で経過時間を測るがいちばん長い針が60秒積算針、次の針が60分積算針、そして最も短い針が大変珍しい60時間積算針となっている。
肝心な現在時刻は、文字盤外周部の回転リングで表示する。6時位置にあるオレンジマーカーから読み取ればよい。
シンガーの[語りドコロ]

 

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<ポルシェ911に魅了され、シンガー社を設立>

 

シンガー・ビークル・デザイン社の創業者、ロブ・ディキンソン氏(左)。ポルシェ911に魅了され、2008年に同社を設立する。マルコ・ ボラクチーノ氏(右)は、数々の有名ブランドでコンサルタントを務めた敏腕インダストリアルデザイナー。彼らに、アジェノー社のジャン・マルク・ヴィダレッシュ氏が加わることで、独創的なタイムピース“トラック1”が誕生した。
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(左)トラック1/(右)トラック1 ジュネーブ エディション

 

(左)他に類を見ないユニークなクロノグラフムーヴメントを搭載するモデル。クロノグラフの伝達方式は水平クラッチだが、その噛み合う歯車には何と“歯”がない。同社の説明によると同じスイスメーカー、ビクトリノックスのヤスリから着想を得ているらしい。歯がなくとも摩擦力が発生する車のようだ。
■SS(43㎜径)。10気圧防水。自動巻き(アジェノー社製)。限定50本。3万9800スイスフラン(日本円で約443万2000円)(右)こちらはトラック1のスペシャルバージョン。イエローゴールドケースにモスグリーンのレザーベルトを採用する。
■YG(43㎜径)。10気圧防水。自動巻き(アジェノー社製)。7万2000スイスフラン(日本円で約801万8000円)
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<アジェノー製の特別なムーヴメント>

 

独創的な構造を採用するアジェノー製の特別ムーヴメント。クロノグラフモジュールをムーヴの中央に置き、その外周を輪列が囲う。また本作は自動巻きだが、ローターを文字盤の裏にセットすることで、メカ全体を見渡すことが可能
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<1960〜70年代に流行したデザイン>

 

現在時間を示す6時位置のオレンジマーカー。内側のリングが“分”、外側のリングが“時”のインデックスの役割を果たす。また、ケースの形状はクラシカルなオーバル形を採用。これは1960〜70年代に流行したデザインだ
【BRAND DATE】

 

SINGER/シンガー
■URL=http://www.singerreimagined.com/en/home/

 

 

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