【ロレックス】通信 No.047|モデルチェンジ候補・第3弾|「エクスプローラー II 」(後編)。これまでとは違う動きをみせる実勢価格相場

エクスプローラー II は、黒文字盤と白文字盤の2種類のみの展開。しかもコンビやゴールドモデルは存在せず、ステンレススチールのこの2タイプのみだ

 前回は、エクスプローラー II (以降EX II)の歴史と便利機能の使い方について紹介したが、今回は細かなディテールと気になる価格面についても解説したいと思う。

 2011年、約20年ぶりのモデルチェンジで登場した現行のRef.216570。その旧型であるRef.16570は当時のGMTマスター II (以降GMT II )と同じムーヴメント、Cal.3185(末期は3186)が採用されていたのに対して、このRef.216570には単独のキャリバーナンバーである3187が搭載された。

 GMT II には未装備だった独自の耐震機構であるパラフレックス ショック・アブソーバーを装備したムーヴメントだったのである。まさに探検用というコンセプトどおりのスペックに強化されたわけだ。

右が現行のRef.216570で左が旧型のRef.16570だ。たかが2mmの違いと思うかもしれないが、ケースなども全体的に肉厚になるため数値以上に大きく感じる

 それに伴い、ケースサイズは2mmアップして42mmに。これはスポーツロレックスの中ではヨットマスターⅡとディープシー、そしてシードゥエラーに次ぐ大きさになる。それに伴い、インデックスや時分針も大型化されたことで視認性は格段にアップしたものの、そんぶん主張の強いデザインとなったことは否めない。

 そしてさらに、個性を強めているのが24時間針のデザインだろう。ファーストモデルの意匠を復活させたものであるが、大きいうえに鮮やかなオレンジのため、見る者にかなりのインパクトを与えている。なお、黒文字盤タイプにいたっては、時分針とともに針の根元を文字盤の黒と同化するように、あえて黒くペイントされている。これもファーストモデルから受け継いだもので、ファントム効果、つまり幻影のように針だけが浮き出て見える効果を狙ったものだと言われている。

1971年に登場したEX II のファーストモデル、Ref.1655(マーク II 文字盤)。24時間針の付け根部分が黒くペイントされているのがわかる

 前回も触れたが、このように現行のEX II は屈強な外装や優れたムーヴメントと、旧モデルからすると比較にならないほどの進化を遂げたことは確かだが、この主張が強い意匠ゆえに、好みもハッキリと分かれるモデルとも言えるだろう。

 さて次に実勢価格の話をしたい。かつてのEX II は比較的にお得感のあるモデルだった。どれくらいお得感があったのかというと、11年の登場当初の国内定価は69万3000円(消費税5%込みの11年当時の定価)、対して実勢価格は64〜69万円ほどだった。それがみるみる下がり、13年にはなんと50万円台前半で購入できるほどお買い得感の強いモデルだった。

エクスプローラー II 、Ref.216570の実勢価格の推移(Watch LIFE NEWS、週間ロレックス相場より転載)

 だが、その後は他のスポーツモデル同様に、じわじわと上がり続け、15年の60万円台、17年の70万円台、18年の80万円台、そして19年にはインバウンド需要の加速でついに100万円超えに。つまり、かつての倍近い実勢価格まで上がってしまったわけである。

 新型コロナ禍の影響で、一時的に下落したものの、実勢価格は再び上昇。6月26日の定点観測によると、現在の実勢価格の安値は108万円と112万円という最高値を記録した新型コロナによる下落前の2月の相場に迫る勢いだ。

 実はもうひとつ以前とは異なる動きがある。それは文字盤違いによる価格差だ。これまでは文字盤カラーに黒と白があった場合に、黒が圧倒的に人気で、そのぶん実勢価格は若干割高というのが並行輸入市場での流れだった(デイトナも旧型まではそうだった)。それが統計をとってみると若干だが、ここ最近は、白文字盤のほうが高いという状況になっているようなのである。一時的なことかもしれないが、意外な動きだったため、一応、購入の際にはちょっと気にしてみてはいかがだろう。

 国内定価は87万5600円。現在の実勢価格との差は直近でいうと約20万円(EX Iも同じぐらい)。ちなみにサブマリーナデイトはというと国内定価と実勢価格の差は現在約43万円。つまりこの差が人気度(需要)の高さの違いということになるのだろう。

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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