【WLN編集部 Recommend】no.007|機能美と独自のヒストリーで選ぶ、“ミリタリークロノグラフ” Best3

ミリタリーを原点に持つ時計ならではの機能美に惚れる

 時計の技術進化には軍事という目的が密接に関わってきた。特に第一次大戦期に航空機が実戦投入されるようになると、戦場の様相は大きく変化し、それに伴って時計も飛躍的に進化した。当初の航空機は偵察などの限定された任務に使用されたが、移動速度が速く広いエリアで作戦展開できるゆえ、航空機自体の性能が上がってくると、徐々に同時攻撃などの複雑なミッションでも大きな成果を挙げるようになる。

 そうなると必要になってくるのは精度の高い時計だ。正確な飛行時間のチェックや距離の計測など、ストップウォッチ機能が搭載されることによってさまざまな測定ができるようになり、計器としての時計に求められる役割は高まっていった。複雑なクロノグラフは小型化が難しかったが、1915年にブライトリングが腕時計サイズのクロノグラフを初めて実用化したことを嚆矢に、バルジューなどのブランドがクロノグラフムーヴメントの量産化に成功しており、第一次大戦期にはこれらの需要が一気に増大した。

 その後の第二次大戦期になるとクロノグラフの製造技術は隆盛を迎え、各ブランドも技術を惜しみなく投入して多くの名作を生み出した。ロンジンのフライバッククロノグラフ、ブライトリングのクロノマットなどは、この時期に生まれたパイロット向けクロノグラフで、現在も時計ファン垂涎の傑作として珍重されている。

往年の名機をベースに生み出されたミリ顔クロノグラフの秀作

 大戦後も現在に至るまで、ミリタリークロノグラフは弛まぬ進化を続けている。ミルスペックと呼ばれる軍が求める製品基準は非常に厳格で、精度だけでなく飛行中の強烈なGにも耐えられる堅牢性や耐磁性も求められる。そのために時計界の最新技術や新素材は、今でもミリタリークロノグラフにおいて優先的に投入されることが多い。

 航空機を操縦している最中に使われるものだから、一瞬で数値を読み取れるように視認性は抜群で、操作性の良さもよく考えられている。そうした実用性の高さに加え、戦場で磨かれてきたというルックスの凄みが感じられ、そこがメカ好きの男心をくすぐるポイントになっているといえよう。
 
 今回は、かつて軍用時計として使用された歴史を持つ名機をルーツにしている珠玉のミリ顔クロノグラフをピックアップしてみた。

【編集部:船平レコメンド】
BLANCPAIN ブランパン
エアコマンド

 世界最古の時計ブランドであり、かつては西ドイツ軍などに軍用時計を供給していた実績のあるブランパンだが、このモデルは米空軍の要請で特別に開発されたといわれるフライバッククロノグラフ。オリジナルは50年代にごく少数が試作レベルで製造され、半ば伝説のモデルとなっていたが、500本限定で昨年復刻された。

 スタイリングは色味に至るまでオリジナルを忠実に再現しており、ムーヴメントは10振動のCal.F388Bを搭載することで正確なタイム計測を可能にしている。裏蓋はシースルー仕様になっており、プロペラを模したローターの動きが楽しめるなど、かなりマニアックで遊び心のある仕上がりも楽しい。

【SPEC】
■Ref.AC01-1130-63A。SS(42.5mm径)。3気圧防水。自動巻き。214万5000円(税込)

 

【船平のRecommend Point】
「近年、各社から多彩な復刻モデルがラインナップされていますが、数が増えるほどにどんなモデルを復刻するのかが重要なポイントになっていると思います。そんななか、このモデルはオークションでもほとんど出回ることがない、幻の軍用クロノグラフをテーマに選んでおり、それだけでもほかと一線を画す魅力を備えています。デイト表示など追加機能を加えることなく、できる限りオリジナルモデルのプロポーションと雰囲気を再現した点も素晴らしく、オリジナルモデルへのリスペクトを感じさせる良作だと思います。(船平)」

 

【問い合わせ先】
ブランパン ブティック銀座
TEL:03-6254-7233
ブランパン公式サイト
https://www.blancpain.com/ja

 


【編集部:佐藤レコメンド】
BREGUET ブレゲ
タイプ トゥエンティワン 3817

 ラグジュアリーウォッチのイメージが強いブレゲだが、ミリタリークロノグラフ分野でも高い実績があり、その一例が1955年にフランス海軍航空隊との連携によって開発されたタイプXXだ。その系譜を受け継いで2004年に誕生したタイプXXIでは、ケースサイズをアップさせてブレゲらしい新しいクロノグラフの姿を提案している。

 ケースサイドのコインエッジ処理や曲線を上手く生かしたフォルムはかなりスポーティブな雰囲気。このモデルではレトロスタイルのスレートグレーダイヤルによってビンテージ感を醸し出しつつ、シースルーバック仕様でムーヴメントの動きを見られるようにするなど、ディテールの仕上がりにもこだわりが感じられる。

【SPEC】
■Ref.3817ST/X2/3ZU。ステンレススチールケース(42mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.582Q/2)。165万円

 

【佐藤のRecommend Point】
「軍用クロノグラフの名機であるタイプXXから継承したアイコニックなプロポーションに加え、立体的な造形に仕上げられたチャコールグレーの文字盤、オールドラジウムカラーの夜光塗料により、洗練された佇まいとヴィンテージ感を見事に両立しています。この記事では写真を掲載していませんが、シースルーバックを採用しており、18Kゴールドローターを備えた美しい自社製の自動巻きムーヴメントを楽しめるのも魅力です。(佐藤)」

 

【問い合わせ先】
ブレゲ ブティック銀座
TEL:03-6254-7211
ブレゲ公式サイト
https://www.breguet.com/jp

 


【編集部:堀内レコメンド】
SINN ジン
158

 横2つ目のインダイヤルを備えた伝統的なバイコンパックススタイルのクロノグラフ。1980~90年代にドイツ軍向けに少数製造された初期ジンを代表する155Bwの復刻版で、時計ファンの熱い要望に応える形で500本限定で復刻された。

 ドイツ軍向けモデルによく見受けられるマットな処理が施されたケースや、ドーム型のアクリル風防、アルミ製ベゼルなどのレトロなディテールに加え、4本ビスで留められた裏蓋などはオリジナルを正しく継承しており、ミリタリーウォッチファンからは評価が高い。

 性能的には夜光インデックスによる視認性の高さや負圧耐性、10気圧防水などハイレベル。デザイン的にはビジネスシーンでも使っても違和感ないだろう。

【SPEC】
■Ref.158。ステンレススチールケース(43.0mm径)。10気圧防水。自動巻き。47万3000円(税込)

 

【堀内のRecommend Point】
「オリジナルモデルの雰囲気を踏襲しつつも、針の形状をペンシル型に変更するなどのアレンジが加えられ、ジンらしい表情に仕上げられた本作。アクリル風防やアルミ製ベゼルといった当時と同じ素材を用いるなどディテールも凝っており、ヴィンテージルックに仕上げられている点も魅力です。またこうした素材を採用することで、大振りなサイズながら見た目よりも軽く、装着感は悪くありません(堀内)」

 

【問い合わせ先】
ホッタ
TEL:03-6226-4715
ジン公式サイト
https://sinn-japan.jp/

 

構成◎佐藤杏輔(編集部)/文◎巽 英俊

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