日本未上陸ブランド 話題のトピックス

【記念すべき第1作は“カメ”のからくり人形!?】スペインの時計職人による独立系ブランド、パジェス・ウオッチに注目

》伝統的な手作業の技術にこだわる、日本未上陸の独立ブランド

 パジェス・ウオッチ(以下、パジェス)はスペインの時計職人、ラウル・パジェスにより設立された、スイスを拠点に置く独立系時計ブランド。日本未上陸の小規模ブランドのため知名度は低いが、魅力的な時計、そしてオートマトン(機会式のからくり人形)を製作している。

 近年、オートメーションでのパーツ製造など、工業製品化が進む高級時計界にあって、彼は伝統的な手作業によって製造された時計に価値を見出しており、ネジ、歯車、そして針など、一部のパーツについては自身の手による製造にこだわっているのが特徴となっている。

 幼い頃から、職人の技術に魅了されていた創業者であるパジェスが、時計を製造する現場に触れたのは15歳のとき。兄の友人に誘われて時計製造のコースに参加し、すぐに、時計製造の技術に魅了されていることに気づく。

 時計製造を仕事にすることを決めたパジェスは、ラ・ショー・ド・フォンから数キロ離れたジュラ山脈に位置する名門時計学校、ル・ロックルに通い、時計製造を学ぶ。

 時計師の資格を得るために4年、その後、時計の修復に2年、更には時計構造で1年、計7年の勉強に費やしたのち、アンティークウオッチやオートマトンの修復を始めることとなる。パジェスは修復作業にやりがいを感じていたが、頭の片隅には自分の傑作を作ることを夢見ていた。


 独立した初めて製造したのは18金、ダイヤモンド、サファイアを使用した複雑なカメのオートマトンを製作。その後、伝統的なスモールセコンドの時計に現代的な感覚を加えて独創的なスタイルに仕上げた腕時計コレクション、“ソベリー・オニキス”を完成させている。

 時計師、ラウル・パジェスは伝統的で熟練した技術を駆使しながら、純粋な時計作りだけではない、愛のあるオートマトンを発表しており、今後もその創造性を発揮した活躍が期待される。


Pagès Watches(パジェス・ウォッチ)
オートマトン・トータス

 この“オートマトン・トータス”は、時計のムーヴメントのようなメカニズムをもち、ゼンマイを動力として動く、伝統的なオートマトンの現代版である。完成までには数年の歳月が費やされており、300以上の部品から構成され、全てスイスの自社工房で製造。


 甲羅、足、ヘッド部分はホワイトゴールドの無垢材で製作さえており、最も目を引きつける甲羅には、職人が手作業で彫刻を施し、エナメル装飾を施している。また、爪の部分にはダイヤモンド、目にはサファイアがセットされ、アイコニックな佇まいに高級感を加えている。

 長寿、知恵、忍耐の象徴の亀をモチーフにしたこの作品はゼンマイを動力としており、鍵を用いて巻き上げを行う。完全にゼンマイを巻き上げると、亀がゆっくりと足と頭を動かして、這う仕様である。


Pagès Watches(パジェス・ウォッチ)
ソベリー・オニキス

 ソベリー・オニキスは、そのモデル名が示すように文字盤にブラックオニキス(黒瑪瑙)の無垢材を使用した腕時計コレクション。 伝統的な製造技術とツールを用いて時計製造のルーツを思い起こさせることを目指して製作されており、モダンな印象を与えるミニマルな意匠とは逆に、針、インデックス、ケースなど、ディテールは伝統的な技法を採用しつつ手作業で製作。

 ホワイトゴールドのケースには1950年代に製造された、Cymaの手巻きオールドムーヴメント、Cal.586kをベースにした機械が搭載されている。

 パジェスは、このムーヴメントを最もシンプルな形に仕上げるために必要ない部品を取り除き、残った部品には面取りや装飾を再び施した。また、手作りのバランスホイールなど、独自の部品を追加して美観と機械としての完成度を高めている。
■K18WG(40mm径/9.3mm厚)。手巻き(Cyma586kベース/ハンドメイドのブリッジとバランスホイールを追加)。4万8000スイスフラン(約576万円)


》Pagès Watches(パジェス・ウォッチ)公式サイト
https://www.pageswatches.com/


文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。

https://www.instagram.com/spherebranding/

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