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【現代のスケルトンウオッチを代表する】ロジェ・デュブイの日本限定モデルを実機レビュー

 超絶な複雑機構と優美で個性の強いデザイン、ハイエンドブランドに相応しい風格で時計ファンを圧倒し続けるロジェ・デュブイ。エクスカリバーはその真骨頂ともいえるコレクションで、現代のスケルトンウオッチを代表する存在だ。星型のブリッジを中心として、ムーヴメント全体が中空に浮いているかのようなデザインは、機械式時計にあまり興味がない人が見ても、それが高度な工芸品であることは理解できるだろう。表だけでなく裏からもその機構を視認することができる時計は世界でこれだけであり、仕上げに手を抜くことは許されないのだから。ムーヴメントをそのまま見せることで装飾性を高めるという意味では、究極のモデルといえる。

エクスカリバー スパイダー オートマティック スケルトン ジャパンリミテッド
■Ref.RDDBEX0946。TI(45mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.RD820SQ)。日本限定28本。880万円

 そのエクスカリバーのなかでも特にモーターレースにインスパイアされた“スパイダーコレクション”に、新たに日本限定モデルがリリースされた。ぱっと見たところスポーティブな雰囲気を漂わせつつも、ロジェらしいゴージャスな雰囲気はまったく損なわれていない。特徴的な星形ブリッジを中心にテンプや歯車の輪列が美しく配置されており、ブリッジには細かな装飾が施されているのも確認できる。ケースサイズは45mmとボリュームがあり、厚みもかなりある。しかし持ってみるとそれほど重さは感じない。これは素材にチタンを使っていることもあるであろうし、ムーヴメント自体を見てみればわかるように、ケースいっぱいに機械が詰まっているわけではない構造のおかげもあるのだろう。

 ケースは分厚いとはいえ、ラグ部分にかなり角度が付いているため、腕に装着したときにうまくフィットするようになっている。デカ厚といっても装着感をかなり考慮しているのは、やはりハイブランドならではだろう。サンドイッチ構造になったケースデザインも、ベゼルまで含めてトータルのメカ感が高く、機械好きにはかなり引っかかるポイントではないだろうか。


 搭載ムーヴメントは自動巻きなのだが、ムーヴメントの優美さを強調するためにローターを極端に小さく設計している。いわゆるマイクロローター式だが、巻き上げ効率は非常に良い。手巻きも可能だが、ムーヴメントが視認できるだけに、リューズを巻き上げていくときなどは動きを見ていて楽しい。香箱もさほど大きいわけではないのだが、60時間のパワーリザーブを備えている点は立派だ。フルスケルトンなだけに仕上げのごまかしが効かないのは当然として、スペック的にもきちんと練られているのはさすがロジェといった感じだ。

 さて、このモデルなのだが、どこが日本限定なのかというと、レギュラーモデルと異なる部分はストラップ。ブラックラバーとホワイトラバーテックを合わせたバイマテリアル仕様で、ほかのスパイダーコレクションと同様にストラップ交換が容易なクイックリリースシステムを採用している。ラグジュアリースポーツ的な雰囲気がいっそう高められたデザインだ。

 凝った仕様ゆえ、もとよりロジェ・デュブイは各モデルの製造本数が少ないブランドではあるのだが、このモデルも製造本数はわずか28本。価格も880万円と非常に高額であるし、手に入れられるのはごく限られた顧客のみだろう。それでも可能であれば、実物をぜひどこかで目にしてほしい。時計メカニズムのミステリアスな動きをこれだけ堪能できる時計はほかに類がないし、手に取ってみたときのモノとしてのオーラも圧倒的なのだ。

【問い合わせ先】
ロジェ・デュブイ TEL.03-4461-8040
https://www.rogerdubuis.com/jp-ja

 

構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎笠井 修

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