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【人気ブランドウオッチ対決】パルミジャーニ・フルリエのエントリーモデルを実機レビュー【クラシックとスポーツどちらを選ぶ!?】

 編集部が人気ブランドを実機レビューする新連載企画。今回注目したのは“神の手を持つ時計師”と称されるミシェル・パルミジャーニが1969年に創設した“パルミジャーニ・フルリエ”をクローズアップしてみた。

 数あるモデルのなかから実機レビューをするモデルに選んだのは特に高い人気を博しているトンダコレクション。同ブランド初のデイリーウオッチとして2020年に登場した“トンダGT”と、独創的なムーンフェイズを搭載する“トンダ 1950 リュヌ”をセレクトして編集部の船平と堀内がレビューしていく。

 いずれも“パルミジャーニ・フルリエ”らしい曲線を取り入れたフォルムや高品質な仕上げが目を引く良作だが、同ブランドのコレクションとしては購入しやすい100万円台の価格であることも魅力となっている。


【実機レビューモデル-其の1】
PARMIGIANI FLEURIER(パルミジャーニ・フルリエ)
トンダ 1950 リュヌ

 代表作のひとつであるトンダ1950のムーンフェイズモデル。薄く細長いアプライドインデックス、蓄光素材を使用したデルタ針、しずく型ラグを備えたラウンドケースなど、トンダ1950のアイコニックな意匠をベースに、二つの窓を対比させたムーンフェイズが個性をプラスしている。

■Ref.PFC284-0001400-XA1442。SS(39.1mm径)。3気圧防水。自動巻き(Cal.PF708)。147万4000円

【問い合わせ先】
パルミジャーニ・フルリエ
TEL:03-5413-5745


》編集部・船平の総評

 “神の手を持つ時計師”と評されるミシェル・パルミジャーニにより、1996年に創設されたマニュファクチュールブランド、パルミジャーニ・フルリエ。時計製造のすべてに関わる会社を垂直統合する完全自社製造体制を実現しており、大手グループに属さない独立性を重視しながら、美しく独創的なコレクションを展開している。

 今回、取り上げたのは、同社の代表モデルである“トンダ1 950”のスチール仕様にラインナップされているムーンフェイズ搭載モデルだ。オパリンブラックの文字盤には、12時位置にムーンフェイズ(南半球と北半球の月齢を同時に表示)、6時位置にスモールセコンドを配置。白いディスクと大きな窓を採用したデイト表示がアクセントを加えている。

 二つの窓を対比させたムーンフェイズ、さらにムーンフェイズとスモールセコンドを対比させたシンメトリーの文字盤デザインも魅力的だが、もうひとつ目を引くのが、同社のアイコンとなっているしずく型のラグを備えたラウンドケースだろう。表面と側面に美しい曲線を備えたしずく型のラグにより、ドレスウオッチの気品を保ちながら、ひねりの利いたクラシックスタイルを生み出している。

》編集部:船平の注目ポイントはコチラ


 エレガントさと個性を兼ね備えた二つのムーンフェイズ。上部の北半球は月の満ち欠け(新月、第1四半期、満月、最後の四半期)、南半球は29.5日の朔望月を表示している。


 自社開発の薄型ムーヴメントCal.PF708を搭載。特徴的なバーリーコーン(大麦粒)装飾のマイクロローター、面取りを施したブリッジなど職人気質の作りが所有欲をくすぐる。


 ベゼルが薄くデザインされているため実寸よりも大きめの印象を感じさせるが、ケースは直径39.1mmの程よいサイズ感。厚さ9.6mmの薄型フォルムに加え、腕に沿わせるように曲線をもたせているしずく型のラグにより快適な装着感を備えている。

》編集部・堀内の総評

「マットなオパリンブラックをベースにしつつ、ムーンフェイズのディスクにだけ筋目の装飾を施すことで、二つの窓を対比させたムーンフェイズをうまく強調しています。シンプルな文字盤は好みが分かれるところですが、デザインバランスと視認性はとても高いと思います。しずく型ラグを採用したケースは、美観、質感ともにほかにはない魅力を感じさせます」(編集長:堀内)


【実機レビューモデル-其の2】
PARMIGIANI FLEURIER(パルミジャーニ・フルリエ)
トンダGT

 同ブランド初のデイリーウオッチとして2020年に発表された。既存のトンダの意匠を継承しつつ、デザインコードを再解釈。人間工学に基づいて設計されたケースとブレスレットが一体化したスポーティなフォルムとなった。

■Ref.PFC910-0000210-B00182。SS(42mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.PF044)。世界限定250本。183万7000円

【問い合わせ先】
パルミジャーニ・フルリエ
TEL:03-5413-5745


》編集部・堀内の総評

 A・ランゲ&ゾーネやチャペックなど、これまでドレスウオッチしか展開してこなかったブランドも次々と参入し、いまや時計界におけるニュースタンダードといっていいほどに広がりを見せている“ラグジュアリースポーツ”。

 当初、こうしたブランドが、イメージの違うモデルを手がけることに否定的な意見もあったが、実際、蓋を開けてみれば、その完成度の高さに多くの人が魅了され、たちまち人気モデルとなるケースも少なくない。パルミジャーニ・フルリエのトンダ GTはまさにその代表例ではないだろうか。

 もっとも、畑違いのスポーツモデルであっても、同社の手がけるものの質が悪いはずがない。文字盤、ケース、ブレスレットの随所に、マニュファクチュールの職人の高度な技術を感じることができる。

 例えば、精悍なブラックカラーでまとめられた文字盤には、三角形の杭をモチーフにした伝統的なクル・トリアンギュレールギョーシェ装飾が施されている。これによりアクティブな表情でありながらも適度なエレガントさを与え、日常のあらゆるシーンに溶け込む汎用性の高さと高級感を両立させているのだ。ただし、ケースがやや大振りな点は好みの分かれるポイントといえるだろう。

》編集部:堀内の注目ポイントはコチラ


 ラグからブレスにかけてぎゅっと絞られていくフォルムとなっている。これによりケースとブレスの一体感が増していることに加え、ホールド感も高いように感じた。


 レトログラード風の目盛りを採用しているため、秒表示を感覚的に判断するのは難しい。あくまで私見だが、視認性を考慮するのであればスモールセコンドはもうひと回り大きくても良かったかもしれない。ただし、デザイン的なバランスとして見ればこの小ぶりなサイズ感は美点であることは確かだろう。


 ケースの直径は42mmあるため、人によっては少し大きいと感じるかもしれない。だが、ラグが手首に沿うようなフォルムとなっているため、着け心地は悪くない。

》編集部・船平の総評

「ラグスポモデルの多くが面と直線で構成されるなか、トンダ GTは曲線的な面構成で、スポーティさを表現しています。これがほかにはない個性といえるのではないでしょうか。やや残念な点を挙げるとするならば、42mm径のケースに加えてブレス幅も比較的広いため、手首が細い人には合いにくいという点。今後、サイズバリエーションの展開に期待したいところです」


 

文◎船平卓馬(編集部)

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