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【1960年代の伝説的ダイバーズウオッチが復活!?】アメリカの新鋭、トルネク・レイヴィル(Tornek-Rayville ) に注目

 トルネク・レイヴィル(Tornek-Rayville ) は、過酷な環境下でも耐久性と信頼性の高い高性能ツールウオッチを提供する米国のマイクロウオッチブランド。1950年代から70年代にかけての名作軍用時計をモチーフに、当時のモデルを忠実に再現したコレクションが特徴となっている。


 ブランド名に冠されている“トルネク・レイヴィル”は伝説的な軍用潜水時計に由来し、その歴史は1950年代後半に遡る。この頃、アメリカ海軍の潜水実験部隊NEDU (後にアメリカ海軍の特殊部隊ネイビーシールズとして知られるようになる水中爆破班 )のダイバーが使用する潜水用腕時計を探しており、複数の時計ブランドが候補に浮上する。

 退役軍人であるオマー・ブラッドリー将軍が主導でブローバを含む米国の主要な時計ブランドが性能テイストのために時計を開発されたが、NEDUは米国の時計ブランドに加えて、市販のダイバーズウオッチでも性能テストを実施。最終的にブランパンのフィフティ ファゾムスが米国海軍に正式採用されることになったとされている。

 面白いのが、米国海軍に時計を納入する方法である。バイアメリカン法 (米国政府の調達で品目別に一定比率以上の米国製品を使うよう求める制度)の影響、輸入時計にかけられる厳しい関税対策などその理由は諸説あるが、ブランパンの時計はニューヨークの時計宝飾輸入業者であるアレン・V・トルネク が設立した“トルネク-レイヴィル”を通して、文字盤に“Tornek-Rayville U.S.”とブランド名変更した形で納入されることになる(トルネクがアメリカでのブランパンの代理権を獲得)。


 写真は1960年代に製造されたオリジナルのトルネク-レイヴィル(TORNEK-RAYVILLE)名で製造されたミルスペック仕様のフィフティファゾムス。フィフティファゾムスを開発したブランパンは1932年に創業者の手を離れ、レイヴィル社に社名を変更。なお。トルネークとは、そのレイヴィル社製品の輸入を行ったアレン・V・トルネクを指す。文字盤の6時位置にある大きなドットが湿度インジケーターである。また、このミルスペックモデルでは夜光にトリチウムが使用され、人体に危険だったため、裏ブタにDENGERの文字で注意喚起するとともに“もし見つけたら、最寄りの軍施設に返却せよ”という一文が刻印されている。


 トルネク・レイヴィルの潜水時計“TR-900”は、ベトナム戦争中の1963年にアメリカ海兵隊武装偵察部隊 に納入されたほか、その後も南ベトナム軍事援助司令部付研究・観察グループ(MACV-SOG)、ネイビー・シールズといった特殊部隊に採用されたと言われている。

 トルネク・レイヴィルはベトナム戦争の集結により生産終了となっていたが、2021年にアメリカの時計ブランドのMK II も手がけるビル・ヤオ が、この歴史ある時計ブランドとその象徴的な時計“TR-900”を復活させ、新たなスタートを切った。 今回はトルネク・レイヴィルのウオッチコレクションから二つのモデルを紹介する。


【編集部の注目モデル】
トルネク・レイヴィル(Tornek-Rayville )
TR-660

 初代モデルであるTR-900 MIL-W-22176Aに代わって製造された“TR-660 ”仕様の自動巻き腕時計。初代は夜光にトリチウムが使用されていたが、“TR-660 ”は非放射性夜光塗料 であるスーパールミノバが採用され、夜光の耐用年数と視認性が高められていたのが特徴となっている。


 逆回転防止ベゼルのリングは、アルミニウム製とアクリル製を選択可能。ケースサイズは40mm、ドーム形のサファイアクリスタル風防、ねじ込み式リューズを備えて200m防水を確保している。 ムーヴメントはセイコーの自動巻きキャリバー 、NE15を搭載。 ムーヴメントと同じく日本製のオリジナルストラップを彷彿させるナイロン製ウーブンベルトが付属。オンラインでの販売価格は950米ドル(約13万6000円)。


【編集部の注目モデル】
トルネク・レイヴィル(Tornek-Rayville )
TR-50717 パラダイブ

 TR-50717パラダイブは1970年代に採用された軍用規格であるMIL-W-50717仕様の軍用ダイバーズウオッチの復刻モデル。 米国陸軍特殊部隊や陸軍レンジャー部隊などに支給され、リューズガードをケースと一体化させたモノコックケースが特徴となっている。このモノコックケースは水の浸入を最小限に抑えられる利点をもつが、一方で時間の経過とともに風防が応力破壊される、時計をセットする際にリューズが外れやすいという欠点もあった。


 そのため、復刻されたTR-50717 パラダイブではあえてスクリューバックの裏ブタを備えた3ピース構造を採用。当時の雰囲気を再現しつつもメンテナンス性を高めている。ケースサイズは41.25mm、ドーム形サファイアクリスタル風防、ねじ込み式リューズを備えることで20気圧防水を確保している。

 ムーヴメントはセイコーの自動巻きキャリバー 、NE15を搭載。日本製のナイロン製ウーブンベルトが付属し、オンラインでの販売価格は950米ドル(約13万6000円)。

 今回紹介した2本の時計は2022年9月現在、トルネク・レイヴィルのウェブサイトでは完売だが2022年10月下旬に販売開始予定なので、興味がある方はウェブサイトをチェックしてみてはいかがだろうか。


》トルネーク・レイヴィル(Tornek-Rayville ) 公式サイト
https://tornek-rayville.us/


文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。

https://www.instagram.com/spherebranding/

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