日本未上陸ブランド 話題のトピックス

【ハンドメイドのエナメル文字盤が美しい】デンマークの時計ブランド、Vitreum (ヴィトルム)に注目

 Vitreum (ヴィトルム)は、デンマークで6番目に大きな都市である、ランダースを拠点とする日本未上陸の独立系時計ブランドで、グラン・フー(高温焼成エナメル)の文字盤に特化した機械式腕時計を少量生産で製作している。


 グラン・フー(高温焼成エナメル)の文字盤を製作するには様々な工程が必要であり、ブランドの厳しい基準に満たない文字盤は廃棄されるため希少性も高い。


 どの文字盤も最初はスターリングシルバーの薄い土台の製作から始まり、製作はヴィトルムの二人のエナメラーのうちの1人が手掛けている。円盤状に切り出されたスターリングシルバーの土台は、文字盤デザインに応じて手作業でエングレーヴィングを施し、角度によって異なる光の反射を楽しめるように装飾が彫り込まれていく。


 次に手間がかかるのがエナメルの準備だ。原料はガラス質のエナメル粉末で、濁りを防ぐために不純物を取り除くのだが、色ごとこの工程を繰り返すので、根気のいる作業となる。


 丁寧に研磨されたエナメルガラスをシルバーの文字盤に重ね、850℃の窯で焼成する。 冷めるまでに割れるのを防ぐため、シルバーの文字盤の裏側にはカウンターエナメルが何層にも重ねられ、納得がいく色に仕上がるまで何度も何度もエナメルを重ね、焼成を繰り返す。


 焼成後、色の深みが出ると凹凸のある表面を完全に平らになるまでダイヤモンド研磨器を用いて手作業で研磨が施される。グラン・フー(高温焼成エナメル)文字盤の製造には複雑で高度な加工技術が必要であるが故に、時計メーカーでも採用することは少ない。一般的に専門のメーカーに発注して製作されるが、その場合も製造コストが高いため、時計自体も高額であるのが通常だ。

 ヴィトルムでは、そんなグラン・フー(高温焼成エナメル)文字盤の製造セクションを自社に確立することで、3995ユーロ(約55万8000円)という頑張れば手の届く価格で工芸的な美観を備えたグラン・フー(高温焼成エナメル)文字盤の製造を実現しているのだ。 今回はヴィトルムの時計コレクションから二つの腕時計を紹介していく。

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