アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
IWC
インヂュニア
今回紹介するのは、1960年代に製造されたIWC インヂュニアの第2世代モデルだ。インヂュニアは、第2次大戦中、軍用時計として製造されたマークシリーズで得られた耐磁技術を民生品に転用し、高い耐磁性能を与えられたシリーズなのだ。
強い磁気にさらされる技術者をターゲットに開発された高い耐磁性能を備えたモデルであり、現在でもIWCの主力コレクションとして展開されている。特に、70年代以降にウオッチデザインの巨匠、ジェラルド・ジェンタが手掛けたブレスレット一体型のデザインが特徴的なモデルから、この名前を知ったという人も多いかもしれない。

【写真の時計】IWC インヂュニア。Ref. 866AD。SS(37mm径)。自動巻き(Cal.8541B)。1960年代製。92万8000円。取り扱い店/ジャックロード
【画像:スクリューバック式の裏ブタやブレスレットの状態を見る(全5枚)】
デザインに注目すると、バーインデックスとペンシルハンドの端正な顔立ちだが、ケースを側面から見た際には厚みのあるどっしりとした造形が姿を現す。この厚みは、ムーヴメント自体の厚みがあることはもちろんだが、そのムーヴメントを覆うように、磁気を逃すための軟鉄製インナーケースが内蔵されていることに起因している。しかし、堅牢なケース構造は、防水性を高めることにも貢献しているため、裏ブタのパッキンを交換すれば、アンティークウオッチのなかでも安心して使用できる部類に入るだろう。ただし、リューズパッキンの劣化が考えられるため、できるだけ水気を避けて使用することを推奨する。
文字盤や針、インデックスに湿気などによる腐食や劣化が見受けられるものの、印刷の剥がれなどはなく、同年の個体と比較すると比較的良好な状態を保っている。
ムーヴメントには、ペラトン式の自動巻き機構が特徴的なCal.8541Bを搭載しており、精度と耐久性の面から信頼性が高く、万人におすすめできる。同年代の自動巻きムーヴメントと比較すると、厚みがあるためケースが大振りになりがちだが、部品自体の耐久性を確保できるため、実用を考えている場合には、もってこいのムーヴメントなのだ。
加えて、しなやかで快適な装着性から愛好家の支持を得ているライスビーズブレスレットが装着されている点にも注目したい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎ジャックロード