小スライド 編集部セレクション 連載記事

【オメガ、IWC、ロンジンほか、ロレックスにも搭載!?】薄型汎用キャリバーの名手、フレデリック・ピゲ“Cal.21”の功績|性別の垣根を超える腕時計 No.023

今回は先週の記事「アンティークドレスウオッチのすすめ」の続編として、汎用薄型手巻きムーヴメントの傑作と名高いフレデリック・ピゲ社の“Cal.21”を取り上げる。

同キャリバーは1920年代には誕生していたとされるエクストラフラットの代表機で、わずか1.74mmという薄さを武器にカルティエをはじめ名だたるブランドに採用された実績をもつ。

【画像】カルティエ、パテック、IWCほか“Cal.21”搭載モデル


薄型化への潮流に加え、時計デザインの転換期でもあった1950〜60年代は、数多のブランドが多様なケースフォルムの時計製作に着手。搭載ムーヴメントが薄ければ薄いほどデザインの自由度が高まるという理由で、各社に供給可能な汎用機であるCal.21は重宝された。

ブリッジにブランド名を刻印し、Cal.21そのままの名称で使用していたのがカルティエとブランパンだ(※フレデリック・ピゲはのちにブランパンを買収し、経営をともにすることとなる)。

優美なブリッジなど、クラシカルな様式を継承している美観も魅力の薄型キャリバー。多くのブランドがキャリバー名を変えて採用していたなか、カルティエやブランパンは“Cal.21”の名のまま使用していた。■Ref.96019。K18YG。手巻き(Cal.21)。1970年代製。参考商品/◎画像協力:シェルマン

カルティエでは、Cal.21はタンク ルイ カルティエのエクストラフラットやサントスのハイエンドモデルに搭載していた。1970年代以降のカルティエはETAの汎用ムーヴメントやクォーツ採用機を多く展開していたなか、高級ラインの薄型基幹キャリバーとして重宝されていたのだ。

対してオメガ、ロンジン、IWCなどは各社オリジナルの名称を付けて使用していた。それゆえ様々なバリエーションが生み出されたが、別格と呼べるものがパテック フィリップの“Cal.175”と“Cal.177”だ。これらはCal.21ベースで唯一ジュネーブシールが取得され、コレクター垂涎の希少キャリバーとなっている。

ジュネーブシールを取得済みのパテック フィリップの歴史的薄型キャリバー“175”/◎画像協力:クールビンテージウォッチ

【画像】激レア!パテック フィリップのCal.175搭載モデル

意外なところでは、ロレックスもCal.650の名でチェリーニやキング・マイダスなどの一部のモデルに搭載していた歴史をもっていたりと、調べてみるといろいろと面白い発見があるだろう。

ちなみにフレデリック・ピゲは、1992年にのちのスウォッチグループとなるSMHにブランパンとフレデリック・ピゲを売却。2010年にブランパンと完全統合され、現在はブランパン専属のムーヴメントメーカーとなっている。


【過去連載記事もチェック!】

■【セイコーほか、10万円以下も】薄型軽量&シンプルな意匠が魅力的!“アンティークドレスウオッチ”のすすめ|性別の垣根を超える腕時計 No.022

■かわいすぎ!サンリオ人気コラボ時計【クロミ20周年&マイメロディ50周年】お手頃価格も魅力のキャラクターウオッチ4選|性別の垣根を超える腕時計 No.021

■【オリエントスター、ルミノックスほか】多様なカラー&デザインのMOPウオッチを一挙紹介!|性別の垣根を超える腕時計 No.020

文◎市村 信太郎

音楽・教育業界を経て2023年より編集者としてのキャリアをスタート。時計やメイク、ファッションなどあらゆるものをジェンダーレスに楽しむ。レディース・メンズの垣根を超えた自由なスタイルを体現し、その魅力を発信するべく奮闘中。

次のページへ >

-小スライド, 編集部セレクション, 連載記事

PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com