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菊地吉正の時計考_023|ブライトリングが発表。どう現代に復活するの大いに興味深い“ギャレット”

ギャレットのフライングオフィサー

時計好きの方はすでにご存じだと思うが、ナビタイマーなどパイロットウオッチで知られる時計ブランドのブライトリングが、同じスイスの時計メーカーで70年代のクォーツショック以降から休眠状態だったギャレットの買収をこの3月に発表した。

ブライトリングが2023年に同じくユニバーサル・ジュネーブの買収を発表したときも驚いたが、時計好きにとってはそれを超える大きなトピックかもしれない。

1826年創業のギャレット。その名を一躍有名にした名機がある。それは1939年に登場したフライングオフィサー(写真)だ。

フライングオフィサーとは、文字盤外周に時差に応じて1時間ごとに都市名を配したダイアルインジケーターをもち、パイロットが飛行中でも都市間の時差を確認できるように、1から12までの目盛り付き回転ベゼルを装備した2カウンタークロノグラフである。アメリカ陸軍のパイロットからの要望で開発されたと言われている。

どちらかというと空軍士官向けとして想定されていたことからこのような愛称で呼ばれるようになったらしいが正確なところはわからない。後に非公式ながらアメリカ海軍航空隊や1970年代にはスイス空軍にも納入実績をもつなど、どちらかというと空軍士官向けとして想定されていたことからこのような愛称で呼ばれるようになったらしいが正確なところはわからない。後に非公式ながらアメリカ海軍航空隊や1970年代にはスイス空軍にも納入実績をもつなど、かなり長い間生産された名機として時計愛好家にはとてもよく知られる存在なのだ。

その一方で、買収した側のブライトリングにもパイロットウオッチの歴史的なモデルが存在する。世界初の航空回転計算尺を文字盤に装備して1942年に登場したクロノマットだ。クロノグラフの付加機能は違えども両者ともにパイロット向け2レジスタークロノ。その意味ではこの歴史的モデルがブライトリングによってどんなスタイルで復活してくるのか大いに楽しみである。

ちなみに正式な復活はギャレットの創業200周年となる来年(26年)とのこと。

【画像】ブライトリングの当時のクロノマットとギャレットの当時の広告

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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