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【セイコーのフライバッククロノグラフ!?】輸出専用に製造された自動巻きの同軸クロノグラフ

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。


セイコー
クロノグラフ

今回紹介するのは、1975年に第二精工舎が製造したセイコーの同軸クロノグラフ、Ref.7016-5020だ。

トノー型のケースに黒文字盤、オレンジとホワイトの差し色が特徴的で、6時位置のインダイアルのフォントやその配置がスポーティさを感じさせる。海外の愛好家からは、ホイヤー(現タグ・ホイヤー)の角形クロノグラフにちなんで、“モナコ”の名でも親しまれているそうだ。

インダイアルに注目すると、内周に12時間計、外周に30分計の目盛りが刻まれていることが確認できる。この個体は輸出専用モデルとされており、カレンダーの曜日表示に英語やスペイン語が使用されている。

【写真の時計】セイコー クロノグラフ。Ref.7016-5020。SS(39mmサイズ)。自動巻き(Cal.7016A)。1975年製。16万8000円。取り扱い店/WatchTender銀座

【画像:特徴的な文字盤や同軸クロノグラフの針を見る(全6枚)

一見すると、なぜひとつのインダイアルに2種類の目盛りが刻まれているのか疑問に思うだろう。そこで積算計の針の根元に注目すると、白い針の下に黒い針が隠れていることが確認できるはずだ。これは同軸積算計と呼ばれるもので、ひとつのインダイアル上で時と分の両方を計測できる仕組みになっている。同軸積算計自体は1940年代頃から採用しているモデルが確認できるものの、センター針位置に配されたものが多く、当時としてもこのレイアウトは珍しかった。

さらに、クロノグラフの動作中にリセットボタンを押すことで、一瞬でリセットして再計測が可能なフライバック機構を備えている点にも注目だ。ただし、この機構はムーヴメントやクロノグラフ針に大きな負荷がかかるため、むやみやたらに多用することは推奨しない。

セイコーが生み出した自動巻きクロノグラフの名機、Cal.6139と同様に、既存の3針ムーヴメントをベースとした設計が特徴的で、本個体に搭載されるCal.7016Aは、第二精工舎が手掛けた3針自動巻きのCal.70をベースとしている。現在でも多くのメーカーが採用する、クロノグラフモジュールを重ねた構造とは異なり、ムーヴメント自体の設計段階でクロノグラフ機構を組み込んだ専用設計を採用したことで、自動巻きクロノグラフとしては薄型の6.4mm厚を実現していたのだ。

他社の自動巻きクロノグラフの陰に隠れ、これまであまり注目されることのなかった本作だが、70年代当時としても画期的な設計が随所に光る、名作と呼ぶにふさわしい仕上がりとなっている。

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文◎LowBEAT編集部/画像◎WatchTender銀座

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