黎明期である1950年代を経て、 60年代以降に急速な進化を遂げたダイバーズウオッチ。 その中でも、卓越した技術力と開発力で、先行するスイスの有名ブランドと比肩する優れたダイバーズウオッチを生み出したのがセイコーだ。 今回の短期特別連載では全5回にわたって国産初のダイバーズウオッチとされる、 65年初出の初代150mダイバーから、メカニカルダイバーズウオッチの完成形と言える、 75年初出の飽和潜水600mダイバーまで、歴代モデルを紹介しつつ、その魅力を改めて探っていく。
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セイコー
プロフェッショナル 600m ダイバーズ
今回紹介するのは、1975年から78年までのわずか3年のみ製造されたプロフェッショナル 600m ダイバーズ、Ref.6159-7010だ。
日本初となる300m防水の本格ダイバーズウオッチの発売により完成を見たと思われたセイコーメカニカルダイバーズであったが、その進化の歩みは1968年に服部時計店に届いた一通の手紙により、再び歩を進めることとなる。
手紙の送り主は広島県呉に住むプロのダイバーで、“現在市販されているダイバーズウオッチは、国産品も輸入品も300m以深の深海潜水において飽和潜水システムに耐えられない”という趣旨の内容であった。セイコーは諏訪精工舎の技術者を中心とするプロジェクトチームを結成してヒアリングを開始し、75年に飽和潜水に対応する世界初のチタン製ダイバーズウオッチ、プロフェッショナルダイバー600mを完成させる。特徴的なのが、減圧中にヘリウム分子を排出する ヘリウムエスケープバルブではなく、ヘリウムが侵入しない時計ケースを作る、という設計思想を採用した点だ。
【画像:ワンピースケースの裏面やリューズまわりの仕様を見る(全4枚)】
ダイバーズウオッチとしては初めてとなるチタン製のワンピース構造ケースに加え、飽和潜水仕様で最も重要な気密性と水密性が従来のNBR(ニトリルブタジエンラバー)の数十倍とされる新規開発の変性イソブチレンイソプレンラバーのL字型断面のガラスパッキン、擦過性を高めるためにセラミックの粒子を溶射処理で施した外胴プロテクター、水圧を受けても手首にフィットする蛇腹式ポリウレタンゴム製伸縮ベルトなど開発した世界初の技術は23件にも及び、機能性、デザインを含めて、当時のダイバーズウオッチのなかでも屈指の完成度を実現している。
ムーヴメントには61GS(グランドセイコー)と同じ、毎秒10振動のハイビートキャリパー6159Bを搭載。製造期間は75年から78年頃までと短く、78年にはクォーツ搭載の600m ダイバー(Ref.7549-7000)にモデルチェンジされているが、梨地仕上げのチタン製外胴を装備した意匠、L字形のガラスパッキン、分厚いリューズパッキンなどの飽和潜水対応技術は以降のプロフェッショナルダイバー各モデルに継承されていくこととなった。
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文◎LowBEAT編集部

