
(写真◎LowBEAT編集部)
去る2月に「モルガン・スタンレー」とスイスの「LuxeConsult」が、2024年版となるスイス時計業界の推定収益について最新調査レポートを共同で発表した。それによるとカルティエは推定売上高でロレックスに次ぐ第2位。前年の31億から31.8億スイスフランとの推定で、苦戦気味のスイス時計産業のなかでもしっかりと売上を伸ばしている。
そんなカルティエだが1次流通だけでなく実は2次流通でも近年急激に需要を伸ばす。筆者が刊行するアンティーク時計の専門誌「LowBEAT(ロービート)」の2024年4月に発行したNo.25でも「再評価される角形時計の傑作“カルティエ タンク”」と題した特集を初めて組んだほどだ。それぐらいに数年前からカルティエの旧型モデルの注目度は確実に上がっている。
ドイツ・カールスルーエに本拠を構える世界最大級の高級時計オンラインマーケットプレイス“Chrono24(クロノ24)”も、去る3月に「カルティエ躍進の理由とは? 2024年の2次流通市場において高い人気を誇ったブランドとモデル」と題してトレンド分析を発表。そのなかで「2024年、他ブランドを凌ぎ圧倒的な人気を誇ったのは、カルティエ。2023年と比較すると市場シェアは23.8%上昇。2020年時点で3%だったChrono24での取引量は、2024年には、5%(+66%)に達している」と世界的にみてもカルティエの時計に対する需要の高まりが顕著だとレポートしている。

カルティエ サントス(写真◎Chrono24)
加えてChrono24では5月27日付けの情報として「じわじわと上昇傾向? カルティエの資産価値とは」と題して主要モデルの世界的な相場推移についても公開している。なかでも上の写真のカルティエ サントスは「過去3年間にわたり価格の安定した上昇を続けており、直近では75〜80万円付近まで上昇しています。右肩上がりの傾向が明確であり、約2年間で50%近くの価格上昇が見られます。特に直近1年間の価格上昇は顕著で今後もさらなる注目を集めることが予想されます」と分析する。
一方で日本市場はどうなのか。冒頭に書いたLowBEATでも特集で組んだようにカルティエの角形時計“タンク”がカルティエ人気を牽引している。その背景について時計のセレクトショップとして全国展開し、カルティエ時計も数多く取り扱うチックタック(TiCTAC)のヴィンテージ担当バイヤー、石井敦氏に日本の状況について話を聞いた。
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