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そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ロレックス
デイトジャスト Ref.1625 “サンダーバード”
今回紹介するのは、1968年頃にロレックスが製造したデイトジャスト Ref.1625、通称“サンダーバード”と呼ばれるモデルだ。
この“サンダーバード”という名は、アメリカ空軍のアクロバットチーム“サンダーバーズ”の隊長、ドン・フェリス大佐の引退記念モデルとして特別発注されたことに由来しているという説が有力である。本モデルは、初代のRef.6309や2代目モデルのRef.6609に続く、3代目のモデルとされており、比較的長期間にわたって製造されていたことで知られている。

【写真の時計】ロレックス オイスターパーペチュアル デイトジャスト。Ref.1625。K18YG×SS(36mm径)。自動巻き(Cal.1570)。1968年頃製。84万7000円。取り扱い店/モンテーヌサカエチカ
文字盤や針などは通常のデイトジャストと同じく、バーインデックスとバトンハンドのシンプルなものが採用されているが、18金イエローゴールド製の両回転式ベゼルを備えている点が最大の特徴だ。コンビカラーのブレスレットやシャンパン色の文字盤が程よい華やかさを演出している。ステンレススチール製のケース本体を含めて、オリジナルのシェイプを崩さない程度の研磨が施されており、打痕や小キズが目立たない程度に仕上げられている。針や文字盤のインデックスなどには経年変化による変色が生じているが、研磨や夜光の再塗装などが行われていないことから、本来の形状が保たれているとも解釈できる。
ブレスレットには1969年に製造された、軽量かつしなやかな巻き込み式タイプが付属している。現行品の無垢材で構成されたブレスレットと比較すると、やや頼りない見た目をしているが、プラ風防を使用した軽量な本体を支えるには十分な耐久性を確保している。ブレスレットのピンやコマの摩耗から生じた“ヨレ”も、あまり良い印象をもたれないが、しなやかで肌に吸い付くような装着感には注目だ。
ただし、ブレスレットのコマ同士の隙間が明らかに大きく、ブレスレットの側面が下を向くように時計を持った際に、ブレスレットが大きく垂れ下がってしまう場合は要注意だ。ブレスレットのピンやコマが過度に摩耗した状態で着用を続けると、破損によって時計本体が脱落してしまう可能性があるからである。こういった破損を防止するためにも、ブレスレットの長さを適切に調整し、負荷のかかりにくい状態にすることを推奨する。
ムーヴメントには自動巻きのCal.1570を搭載。同年代のデイトジャストやサブマリーナーデイトなどに搭載され、多くのロレックスを支えた信頼性の高い名機だ。シンプルな構造ゆえに故障やトラブルが少なく、1960年代半ばから80年代までの約20年間にわたって製造されていたことからも、その完成度の高さが伝わるだろう。
幅広いバリエーションが展開されていたデイトジャストのなかでも、ひときわ個性と存在感を放つ“サンダーバード”に、ぜひ注目してほしい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎モンテーヌサカエチカ