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そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ロレックス
チェリーニ Ref.4014
今回紹介するのは1972年に製造されたロレックスのチェリーニ Ref.4014だ。いまとなってはオイスターケースを用いた実用時計のイメージが強いロレックスだが、28年から近年に至るまでエレガントなドレスウオッチの“チェリーニ”も手掛けていたのだ。
このモデルは、イタリア・ルネッサンス期の芸術家 “ベンヴェヌート・チェッリーニ”に敬意を表して登場したとされており、同社の“オイスターケース”や“パーペチュアル”の技術が浸透する以前には、資金面で大きな支えになっていたといわれている。

【写真の時計】ロレックス チェリーニ。Ref.4014。K18WG(23x28.5mmサイズ)。手巻き(Cal.1600)。129万円。取り扱い店/黒船時計古酒店
【画像:鮮やかなブルーの文字盤やムーヴメントを見る(全6枚)】
1928年に登場した初代モデルのチェリーニ プリンスはレクタンギュラーケースを採用し、“ドクターウオッチ”とも呼ばれる時分計と秒計がわかれたレイアウトを採用していた。当時流行していたアール・デコ様式のデザインを採用したことも功を奏し、イギリスを中心に広く受け入れられるようになったのだ。
その後もレクタンギュラーケースやラウンドケースのモデルが誕生していくものの、オイスターケースを用いたデイトジャストやスポーツモデルなどの普及により、その影は薄まっていってしまった。
本個体はケースにホワイトゴールドを用いたモデルで、カクテルを思わせる鮮やかなブルーの文字盤が特徴的だ。張り出しのない、直線を基調としたアール・デコ様式のデザインが上品さを感じさせる。ケースの縦横比も絶妙なバランスで、小振りなサイズでありながらも確かな存在感を発揮するだろう。注意点として、非防水のケースであるため、高温多湿や埃を避けて使用することを推奨する。
ムーヴメントには手巻きのCal.1600を搭載。華美な装飾のないベーシックな2針の手巻きムーヴメントだが、独自のパーツレイアウトも見られ、実用性を重視したロレックスのこだわりが感じられる仕上がりだ。
近年までチェリーニの名を冠したモデルは販売されていたが、現在のロレックスのブランドイメージとあまり一致しなかったのか、市場での人気は決して高いものではなかった。“ロレックスらしさがない”という点も人気の低さに繋がっていると思われるが、同社の歴史をかたるうえでは欠かせない存在であり、洗練されたデザインは目を見張るものがある。ほかの角形ドレスウオッチとは異なる、シャープなデザインのチェリーニに注目だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎黒船時計古酒店
