10万円台までの価格帯でデイリーユースの時計を選ぶ際、機械式時計らしい機能、メカニカルなデザインを楽しみたい、という人におすすめしたいのが、GMT機構を搭載したモデルだ。
時刻表示以外の機能を搭載していると価格も高くなりそうな印象だが、セリタやミヨタなど供給されるムーヴメントが増えたことでラインナップが増加しており、10万円台までの価格帯でも魅力的なモデルが射程圏内に入ってくる。
小窓表示やサブダイアル表示などの第2時間帯の表示方法は様々あるのだが、やはり、王道と言えるのが、グランプリに選出したノダスの“Sector Ⅱ Dive GMT”でも採用している副時針(GMT針と呼ぶ)を備えた仕様。ロレックスのGMTマスターⅡが基本形を確立したとされるスタイルで、GMT針で第2時間帯を確認するタイプである。
なお、この仕様のGMTウオッチは、ローカルタイム(渡航先の時刻)の設定方法による違いで、ノダスでも採用している“GMT針単独可動型”と、“時針単独可動型”に分類される。マニアックなポイントだが、操作方法に注目してみるのも面白いだろう。
【画像】予算10万円台まで最強ウオッチGP、“GMTウオッチ部門”4モデルを見比べる
【GMTウオッチ部門:ノミネートモデル01】

■Ref.lmgt003。SS(37.5mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal. NH34)。6万9300円
Lima Watch(リマウォッチ)
GMT トランンジスト(ホワイト)
インドネシア発の腕時計ブランド“リマウォッチ“のGMTモデル(GMT針単独可動型)。クラシックな外観と現代的な機能を融合したデザインが特徴となっており、スキンダイバーを想起させる薄型でソリッドなケース、ロレックスの初代エクスプローラーⅡを想起させるGMT針など、時計好きの琴線に触れるディテールが目を引きつける。
ベゼルがわずかにカーブしたミッドケースの上に優雅に収まる独自の構造を採用。これにより、ケース全体が流れるようなシルエットを描き、シンプルでありながらも、手首に自然になじむ有機的な美しさを備える。
【編集部:堀内が受賞の理由を解説】

ヴィンテージ感と実用性を両立したバランス感が絶妙
「往年のスキンダイバーを思わせるケースなど、ヴィンテージテイストを感じさせるデザインをベースにしつつ、近年のトレンドを取り入れた37.5mmの小振りなサイズ、独自構造のケースなど、ユニークなアレンジを要所に採用しているのがマニア心をくすぐります。防水性能がもう少し高いとさらに良いのですが、この仕上がりで6万円台という価格はかなりお買い得だと思います」
【画像】小ぶりな37.5mm、“GMT トランンジスト”を別アングルで見る
【問い合わせ先】
エイチエムエスウォッチストア 表参道
TEL.03-6438-9321
【GMTウオッチ部門:ノミネートモデル02】

■Ref.8833。CARBONOX(46mm径)。200m(20気圧)防水。クォーツ。11万7810円
Luminox(ルミノックス)
RECON NAV SPEC 8830 SERIES
元スイス陸軍軍事保安下士官で戦術スペシャリスト、アンドレア・ミケリ氏と共同開発されたプロ仕様のナビゲーションツールウオッチ。時差計算ができるGMT針(GMT針を単独可動)をはじめ、着脱可能なコンパスと一体型の定規目盛りを備えたベルトを備える。軽量かつ剛性を備える“CARBONOX”をケースに採用し、20気圧防水を備える。
一般的な地図スケールを組み込んだ新デザインのベルトと着脱可能なコンパスを装備し、地図上で距離を直接測定が可能。カーボンコンパウンド素材であるCARBONOXをケースに採用し、強度と軽快な着け心地を両立している。
【編集部:船平が受賞の理由を解説】

見た目から想像できない装着感も魅力
「GMT機能に加えて、本格ダイバーズウオッチ仕様の200m防水を備え、さらに軽量なカーボンコンパウンド素材であるCARBON OXケースで、耐久性や耐熱性も確保。自己発光システム“ルミノックス・ライト・テクノロジーを装備して暗所でも安定した視認性を備えます。ギア感が満載ながら意外に軽くて着けやすく、機能てんこ盛りのデザインが、男心をくすぐります」
【画像】ギア感満載で存在感抜群、“RECON NAV SPEC 8830 SERIES”を別アングルで見る
【問い合わせ先】
Luminox Lounge(ルミノックスラウンジ)
TEL.03-6427-3212
【GMTウオッチ部門:ノミネートモデル03】

■Ref.S820X-11。SS(44.8mm径)。150m防水。自動巻き(Cal.NH34)。12万9800円
KENTEX(ケンテックス)
マリン GMTグリーンMOP
ケンテックスを代表する自動巻きGMTシリーズに加わったMOP文字盤の新色モデル(GMT針単独可動型)。独自の塗装・加工技術により、天然の輝きのなかに美しい色調を表現。
ボート型デザインのインデックスに極太のアロー型時針、テーパード型分針、スケルトンのGMT針が合わさり、視認性も高く、装着感に配慮した4時位置リューズなど、細部に至るまで妥協のない設計が光る。
方向回転式GMTベゼルにはサファイアガラスのパネルが設置され、傷からベゼルを保護し、高級感を高めている。大振りな44.8m径だが、カーブした短めのラグなどこだわりのディテールで装着感も良好だ。
【編集部:船平が受賞の理由を解説】

GMTの機能美にMOP文字盤が美観をプラス
「美しい輝きともに手首を彩るMOP文字盤が高級感抜群。ただし、この大きさゆえに重量感もなかなか(約220g)のため、その点には注意しておきたいところです。MOPの色調と発色にかなり注力したという本作。光の当たり方で表情を変える文字盤と充実のディテール、日本製ムーヴメント搭載のGMTモデルで10万円台前半という価格はかなりお値打ちです」
【画像】高級感と機能美を両立、“マリン GMTグリーンMOP”を別アングルから見る
【問い合わせ先】
ケンテックスジャパン
TEL.03-5846-0811
【GMTウオッチ部門:グランプリ受賞モデル】

■SS(40mm径)。10気圧防水。自動巻(Cal. NH34)。8万8000円
NODUS Watches(ノダス・ウォッチ)
Sector Ⅱ Dive GMT
アメリカ、ロサンゼルスを拠点とする新鋭ブランド“ノダス・ウォッチ”の新作。逆回転防止ベゼルを備えたスキンダイバースタイルのデザインをベースに、GMT機構(GMT針単独可動型)を搭載。
文字盤は外周にGMT用の24時間表示リング、内側に夜光を塗布したインデックスを配置。デザインバランスを崩さないように小振りな丸型に仕立てたデイト表示、すべて異なるデザインが採用され時分秒針とGMT針など、細部にこだわりが光る。
ベゼル幅は直径40mmだが、ケース自体は直径38mmと小振り。ラグの先端までの上下幅も47mmのため、手首の内側にしっくりと納まる。ケースと風防は徹底的に再設計され、SEIKO製のNHムーヴメントを採用したモデルの中でも極めてスリムな厚さわずか11.9mmの仕様を実現している。
本格ダイバーズウオッチではないため防水性能は100mに留まるが、デイリーユースの機械式GMTウオッチとして、安心して使用できる実用性、機能性を備える。ムーヴメントはセイコー製のCal. NH34を搭載。最大41時間のパワーリザーブを備え、精度は± 10秒/日に調整が施されている。
【編集部:船平が受賞の理由を解説】

価格以上の上質感とバランスの良さが大きな魅力
「ベゼルを含めたサイズは直径40mmですが、ケース自体を38mmに仕立てたのがうまい。40mm以上だとやや大振り、40mm以下だと少々物足りない印象ですが、適度な重量感が心地よく、腕に載せたときのバランス感は、ノミネートモデルのなかでもダントツでした。手頃な価格も魅力です。防水性能は10気圧とダイバーズテイストのデザインに対してはやや物足りない印象ですが、デザインバランス、装着感がノミネートモデルのなかでもダントツに高く、8万円台という価格は魅力的です」
【画像】セイコームーヴメント搭載、ノダス・ウォッチ“Sector Ⅱ Dive GMT”を別アングルから見る
【問い合わせ先】
エイチエムエスウォッチストア 表参道
TEL.03-6438-9321
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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