アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ロンジン
シリンダーケース
今回紹介するのは、1940年代に製造されたロンジンの手巻き時計だ。
文字盤外周と中心部が色分けされたツートンダイアルが特徴的で、青焼きのリーフ針と組み合わせることで、優れた視認性を実現している。シンプルでありながら、美しいバランスのフォントが採用されたアラビアインデックスも、上品さを感じさせるポイントだ。
本個体にはシリンダーケースと呼ばれる、ステンレススチールの塊を筒状に打ち出したような形状のケースが採用されている。ツール感あふれる、シンプルかつ武骨な造形が魅力的だ。1940年代当時、ステンレススチールは加工が困難であったとされており、ケース側面やラグなどは必要最低限のシンプルな面で構成されている。しかし、ケースの各面に歪みは見られず、美しい造形を実現している点は特筆すべきだ。
ケースのコンディションに注目すると、使用に伴うわずかな小キズが見られるが、研磨などによるケースシェイプの崩れもなく、非常に良好な状態を維持している。

【写真の時計】ロンジン シリンダーケース。SS(31mm径)。手巻き(Cal.12.68n)。1940年代。28万6000円。取り扱い店/プライベートアイズ
防水性のないケース構造ではあるものの、ミドルケースと裏ブタ、ベゼルとの噛み合いは非常に高精度で、コジアケの差し込み部分を除けば、ほとんど隙間のない状態を保っている。
ムーヴメントには、ロンジンの名機として今なお高い人気を誇るCal.12.68nを搭載。シャトンを用いた大径の軸受けルビーや、センターセコンド化のために張り出した3番車の軸受け、独立した秒カナの受け板など、精度と耐久性を重視した非常に重厚なムーヴメント設計が魅力だ。ペルラージュやコート・ド・ジュネーブといった華美な装飾こそないものの、丁寧に磨き込まれたネジや歯車類からは、確かな素性の良さが感じられる。
今回紹介したロンジンは、特殊な技法による仕上げや、有名デザイナーによるアイコニックな外装デザイン、あるいは特殊な機構を備えたムーヴメントとは一切無縁の時計かもしれない。だが、現代の基準からは考えられないほどに丁寧に作り込まれた部品や、細部まで気を配ったデザインバランスの積み重ねによって、最低限の要素のみで高級感を感じさせる上品さを手に入れているのだ。
アンティークウオッチのなかでも、硬派で職人気質な作りの時計を求めている人には、ぜひアンティークのロンジンを探してみてほしい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎プライベートアイズ
