ドイツ時計の魅力を再考する<A.ランゲ&ゾーネ>

1815アニュアルカレンダー

1815 アニュアルカレンダー

ブルースチール針やアラビア数字、線路をイメージしたレイルウエイトラックなど古典的な懐中時計の趣を特徴とする1815コレクションに加わった年次カレンダーモデル。その見た目は確かに古典的だが、その内実はまったくもってモダンで実用志向である。
■Ref.238.032。PG(40㎜径)。3気圧防水。手巻き(Cal.L051.3)。490万3200円

 

A.LANGE & SÖHNE

A.ランゲ&ゾーネ

 

日常的な機能性を強調した
手巻きのアニュアルカレンダー


2017年、1815コレクションに加わった1815 アニュアルカレンダーは、“決して立ち止まらない”を信条とするA.ランゲ&ゾーネらしいモデルだ。

 同社で初となる年次カレンダー機構搭載モデルは、10年に発表されたサクソニア・アニュアルカレンダーだ。本作はそれに続くアニュアルカレンダーの2作目となるのだが、実はこの間、7年もの歳月が経っている。しかし、これには理由がある。
前者は自動巻きムーヴメントとアウトサイズデイト仕様であるのに対して、後者は手巻きムーヴメントと古典的なポインターデイト仕様。
つまり、A.ランゲ&ゾーネは初作とはまったく別ものの年次カレンダー機構を新たに開発したからだ。
サクソニア・アニュアルカレンダー

サクソニア・アニュアルカレンダー

Ref.330.026。WG(38.5㎜径)。3気圧防水。自動巻き(Cal.L085.1 SAX-O-MAT)。544万3200円

Cal.L085.1A SAX-O-MATとCal.L051.3

アニュアルカレンダーとは、2月を除いて30日の月と31日の月を自動で判別し、年に1度、2月のみデイトの調整を必要とするカレンダー機構である。左が1815 アニュアルカレンダーに搭載されているCal.L051.3、右はサクソニア・アニュアルカレンダーが搭載するCal.L085.1A SAX-O-MATである。前者は手巻き、後者は自動巻きとムーヴメントが異なるだけでなく、カレンダーの機構自体もまったく違う

また、前者は永久カレンダーから閏年を表示する機構を省略したものであるのに対し、後者は年次カレンダー専用に設計された。しかも手巻きモデルに搭載されるにふさわしい特徴を備える。

ケースサイドに曜日、月、ムーンフェイズを個別に修正する埋め込みボタンを持つのはサクソニア・アニュアルカレンダーと同じだが、1815 アニュアルカレンダーでは新たにデイト表示専用の修正ボタン(ケース9時位置)が設けられ、それぞれの表示はボタンで個別に修正できるようになっているのだ。さらに2時位置の長方形のボタンはすべて表示と連動しており、ボタンひとつでカレンダーをいっせいに進めることができるという、時計が止まった際に便利な機能が与えられた。

1815アニュアルカレンダーのケースサイド

ケースサイドに設けられたカレンダー調整用の埋め込みボタン。写真右は左から曜日、デイト、ムーンフェイズ調整用。写真左は左側の埋め込みボタンが月調整用で、2時位置のボタンがカレンダー表示をいっせいに進めるボタン

わざわざ専用開発というコストの掛かる方法を選択し、使い勝手を重視した本作。何とも独創的なモデルである。

 

A.ランゲ&ゾーネ TEL.03-4461-8080
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