菊地の【ロレックス】通信 No.076|新旧サブマリーナーデイトを実機で検証。気になる実勢価格はいかに!

 今回のロレックス通信は、2020年の新作として昨年9月1日に発表されたサブマリーナーデイトについてだ。単なる紹介ではつまらないため、新旧モデルを比較検証してみたいと思う。

 ではまず、下のほうに掲載する新旧を横に並べて一緒に撮った写真を見てもらいたい。一瞬見ただけではどっちが新型なのか見分けがつかないほど、ムーヴメント以外に大きな変更は加えられていないことがわかる。

 サブマリーナーは、ご存じのように潜水時間を計測できるようにと、その機能から生まれたデザインだ。長年にわたってその基本デザインを変えずに改良が加えられながら完成度を高めてきた。そのためいまさら変えようがないというのもわからないことではない。

 しかも今回は、自動巻きムーヴメントのCal.3135から最新のCal.3235への移行に伴うマイナーチェンジという意味合いが強い。

 しかしながらユーザー心理からするとマイナーチェンジとはいえ約10年ぶりのリニューアルということもあり“新しさ”にはどうしても期待値が高まる。そのため正直なところ物足りなさを感じた人は多いのではないか。

右が新型のRef.126610LNで左が旧型のRef.116610LN。こうやって並べてみても正直どちらが新作なのかはわからない。それほど今回は細かな変更に留められている。しかし、新旧を簡単に見分ける方法がひとつある。それは文字盤6時位置のクラウンマークの有無だ。新型にあって旧型にはない

 とは言えそこはロレックス。もちろん変わったのはムーヴメントだけではない。見た目にはわかりにくいが公式資料にはケース幅が41mmと記載されており、1mmサイズアップされてケースが一新されているのだ。

 加えてブレスレットも新しくなりコマ幅が広くなっている。つまり堅牢性を高められたと同時に、今回ケース幅が1mm大きくなったことを受け、それとのバランスをとるためにブレスにも改良が加えられたことは想像に難くない。

 実のところ、旧型の唯一の欠点は、時計ケース全体のボリュームに対してブレスレットの幅が細く感じ、頭でっかちに見えて正直バランスが悪かった点だ。今回のサイズアップについては正直賛否あったが、全体のバランスがだいぶ改善されたという意味で評価する声も実は少なくないのである

外装面で確認できる変更点は大きく五つ

 新作だけ見ているとわからないが、新旧の実機を並べると公式資料には書かれていないものの、変更点が大きく五つ存在することがわかる。

1、ケースのラグ幅が細くなった
2、コマ幅を若干拡大しブレス自体の幅もサイズアップ
3、文字盤の6時位置にクラウンマークが追加された
4、時分針がサイズアップ
5、ブレスレットのコマの数がひとコマ減っている

 ここでは上に挙げた中から特にポイントとなる1項と4項について、写真とともに具体的に紹介させていただく。ただ、もっと詳しく知りたい方は、現在発売中のパワーウオッチ1月号(No.115)を参照していただきたい。

>スマートになったラグ幅

 ケースとブレスレットが一新されているが、それを最も表わしているのがラグの形状である。左が旧型のRef.116610LNで右が新型のRef.126610LNのラグ部分をアップしたものである。写真を見比べてみると、旧型に対して新型はラグが明らかに細くなっているのがわかるだろうか。不評だった太めのラグが改善されたことでスッキリした印象になった。

>時分針とインデックスがサイズアップ

 写真ではちょっとわかりにくいかもしれないが、実はインデックスをフチ取っている18金ホワイトゴールドのオーナメントの太さが、新型は若干太くなっているようなのである。そのためよく見比べてみるとインデックスが少し際立って見えることがわかるだろう。これに加えて時分針も若干だが大きく微妙に変更されていることがわかる。

 さて、気になる実勢価格だが、旧型のRef.116610LNは150万円台前半。それに対して新型のRef.126610LNは150万円台半ばとここにきて新旧の価格差がだいぶなくなってきているようだ。それに加えて、新型は直近1カ月の間にさらに10万円ぐらいダウンしている。プレミアム価格であることには変わりはないが、だいぶ値下がりしたことも確かだ。

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。