石橋 凌 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.61-2)

愛用のダブルフェイスウォッチはアルマーニなど、ファッションブランド系のものが目立つ。そのデザインには石橋さんの一貫した趣味が感じられる

 

圧倒的な存在感で硬派な役柄を演じきる石橋凌さんは、ダブルフェイスの時計を愛用している。役柄で善と悪の振り幅が広いゆえ、その二面性を時計にも求めているのだろうか?

「いやいや、そんな大げさな意味じゃないです。海外での仕事が多いんで、日本と現地の時間の両方がわかるっていう実用的な意味で使っているんです。昔から物にはほとんど執着しないんで、高価な時計にも興味がないんです。ただダブルフェイスだけは見掛けるとちょっと気になりますね。もともとこのタイプの時計はそんなに多く出回っているわけじゃないんで、探そうと思うとやっぱり見つからないんですよ」

気に入ったデザインのものが見つかれば入手するという感じで、いつの間にか手元に集まった。ハリウッドの俳優組合に加盟しており、仕事のベースの半分は海外にある石橋さんだけに、二つの文字盤は実用的な意味合いが強いのだ。

「海外から日本に電話するときなどにやはり便利です。現地の知人と電話でやり取りすることも多いから、ハリウッドの現地時間をチェックするのにも使います。ブラジルのカンピーナスってところにロケに行ったことがあるんですが、そこはちょうど日本との時差が12時間なんです。そこではダブルフェイスの意味がなかったけど(笑)」

若い頃から時間には几帳面で、時計はちゃんと身に着けていた。

「ARB時代も時計はしてましたよ。意外に真面目だったんです(笑)。俳優の仕事を始めてからは、より時間に厳しくなりました。バンドマンというと昼頃起きて、レコーディングもだいたい夜で、それが朝まで続くって感じですが、俳優は現場に入るのも朝が多いんですよ。その場のノリでずるずる仕事が続くっていうこともないですし、共演者やスタッフもバンド時代よりずっと多いから、自分が遅れると大きな迷惑になってしまうんです」

もともとARBのボーカリストとして活躍していた石橋さんが俳優の道に転向したのは、恩師でもあった松田優作氏がハリウッド進出半ばにして逝去したことが大きい。今でこそハリウッド進出に成功した石橋さんだが、その転向時には迷いも大きかったという。

「俳優に転向しようと思ったとき、頭をリセットしようってことで1カ月間ヨーロッパ旅行に出たんです。昔から憧れだったシベリア鉄道に乗って、ハバロフスクからモスクワまで横断したんですけど、その行程だけで5泊6日かかる。たくさんのお酒と本を持ち込んでずっと客室にいたんですが、いろいろなことを考えたのを思い出します。迷いも大きかったんですが、うまく断ち切れましたね」

延々と続くシベリアの森林を眺める時間が、石橋さんの揺らぐ気持ちを整理してスイッチを入れ替えさせたのだろう。

 

石橋 凌俳優)
RYO ISHIBASHI 1956年7月20日、福岡県生まれ。78年にロックバンドARBのボーカリストとしてデビュー。ストレートな音楽性が高い評価を得て武道館ライブも成功させるが、親交の深かった松田優作氏の死去をきっかけとして90年に俳優転向。95年にはショーン・ペン監督の映画『クロッシング・ガード』でハリウッド進出を果たす。97年にはARBを再結成するが、2006年に正式に脱退。映画やドラマを中心にアウトロー役から刑事役まで幅広い役柄をこなし、日本とハリウッドを股にかけて活躍している。

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