芸能人の愛用時計

伊吹 吾郎 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.65)

格さん役が一段落した2000年に購入したブルガリ ブルガリ。ステンレスブレスの時計は夏によく使うという

 

伊吹さんの所有する時計は4本。取材当日に使っていたのはブルガリだった。

「2000年に"水戸黄門"の仕事が終わりまして、一段落ってことでその記念に買ったんです。シンプルで見やすいし、最近は着ける機会も多いですね」

ほかに持っている時計はセイコー クレドールの金無垢モデル、ピアジェのドレスウオッチ、ロレックスのGMTマスター コンビモデルだ。

「セイコーのクレドールは1977年に買いました。ブラジルに行くことになったんだけど、向こうに住んでおられる日系2世の知り合いが『時計はセイコーをしてくるとこっちの女性にもてるよ』って教えてくれたわけですよ。当時は質の高い日本製品が世界を席巻していましたからね。向こうに行ってどうだったかって? そりゃもう大セイコー(笑)。ピアジェは京都・清水寺の改修イベントのとき、懇意にしている地元の不動産業者の方に出演を頼まれて、そのギャラ代わりにいただいたもの。ノーギャラで結構ですって言ったんだけど、イベントが終わってからその方の自宅に呼ばれて、愛用の高そうな時計をずらっと並べて『好きなのを1本持ってってくれ』って言われたんです。すごい時計ばかりだったな」

GMTマスター(Ref.16753)は現在日本ロレックスにメンテナンスに出している最中。その当時の価格は70万円台で、京都の時計店が催した展示即売会で購入したという。ハードに使っていたせいかリューズや針、文字盤などの劣化が激しく、「見積もりしたら想像以上に修理代が高かった」とのことだが、愛着ある時計だけにまだまだ大事に使っていく予定だ。

「基本的に時計はシャツの袖口に収まるような薄くてドレッシーなものが好きなんだけど、夏場用にもっとずっしりした時計を持っていてもいいな、って買ったんです。買ったのは83年に"水戸黄門"の仕事がスタートしたとき。自分としても大きな仕事になるなって予感があったんですね」

83年から2000年まで格さんとして出演し続けた『水戸黄門』の頃は、時計をする機会はいまよりずっと少なかった。

「月曜日から金曜日まで太秦の撮影所に入り浸りで、撮影中はずっと衣装を着ているから時計はあまり必要なかったんです。ドラマの撮影がない時期は、同じメンバーで舞台をやりながら全国を回っていたので、結局17年間ずっと"水戸黄門"だけでした。最近は映画やドラマだけでなく、バラエティ番組でも声を掛けていただけるようになりましたけど、時計を強く意識するようになったのはそれからかもしれないですね」

 

伊吹 吾郎俳優)
GORO IBUKI 1946年1月2日、北海道生まれ。65年に日本映画テレビ演劇学院に入所し、翌年には東宝第7回ニューフェイス入りし俳優デビュー。『仁義なき戦い』などの東映映画のほか、『必殺仕事人』やNHK大河ドラマでも活躍。特に『水戸黄門』では83年から2000年の長期にわたって格さん役を演じ、国民的な人気を得た。近年は映画やドラマだけではなく、バラエティ番組にも多く出演してコミカルで親しみやすい一面も見せている。

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