具志堅 用高 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.66)

愛用時計はロレックスのデイトジャスト。「水を使うとき忘れて濡らしちゃう(笑)」からバンドは革よりメタル派だ

 

ブルーのジャケットとホワイトデニムの爽やかなコーディネイトはすべて自前。胸には鮮やかな空色のチーフまで……と思いきや、「えっ? これ? これはたまたま入ってたの!」と笑いを誘うところがまたチャーミングだ。愛用の時計はシンプルなロレックスだが、最近は「ロケとかにお洒落かなと思って」と、ちょっと派手な時計にも興味をもっている。実はおしゃれが好きなのだ。

時計との出会いは興南高校時代。

「同級生に沖縄では有名な時計店の息子がいてね。だからロレックスやピアジェが最高の時計だってことは、その頃から知ってはいたんだよ。もちろん手に入るなんて思ってなかったけどね」

その現物を初めて手にしたのは世界を取ったとき。1000万円を超える時計を贈られたこともある。

「知ってるだけで見たことがなかったから、目の前で見たときはウワーッって思ったねえ。こんな値段なのか! と驚きましたよ。でもチャンピオンにはチャンピオンにふさわしいモノがあるんだよね。いい時計も、当時流行った18金のブレスレットも、一流のスポーツ選手はみんな身に着けていた。自分も負けてられないと思って着けるようになったんだなあ」

13度の世界戦防衛は、未だ破られない日本人最多記録。ボクシングの話になると柔和な瞳の奥に強い光が宿る。

「あの頃はまさに時計と一緒に動いていたね。どんなに遅くても夜は12時までに寝る。朝は6時からロードワーク。辛いんだけど、そこを乗り越えると身体も精神も強くなるんだね。そうやって準備ができたときは、リングの上で相手がどう動くのかまで全部目の前に浮かぶんだよ。逆に準備不足だと試合日が近づくにつれて焦るんだけど、そういうときはダメなんだ」

王者であっても勝つためのトレーニングは同じ。目一杯悔いのないように、弱みを見せないように。そうして勝ち続けた4年半は振り返ればあっという間だった。

チャンピオンになっても変わらなかったスピリットは、バラエティ番組の人気者になったいまももち続けている。

「テレビの仕事は短時間の戦い。スポーツと一緒だよ。気合いを入れないとね!」

2012年7月には、自らのジムから世界チャンピオンを輩出した。

「チャンピオンを育てるのは自分がなる以上に大変。選手は夢をつかもうと頑張るだけだけど、育てるのは夢を与えるところからだからね。ジムの外での戦い、マッチメイクの難しさなど、世界戦のゴングが鳴るまでにいろいろあるだけに、成し遂げるのは本当に嬉しい。やっぱり〝世界〟は違うよ!」

 

具志堅 用高元WBA世界ライトフライ級王者
YOKO GUSHIKEN 1955年6月26日、沖縄県生まれ。興南高校でボクシングを始め、3年でインターハイ優勝。卒業後上京し、74年5月、協栄ジムからプロデビュー。76年にWBA世界ジュニアフライ級(現ライトフライ級)王者となり、以後4年半にわたって王座を守る。現在はバラエティ番組等で活躍しつつ、白井・具志堅スポーツジム会長として後進を指導。12年7月には所属する山口直子選手をWBA世界女子スーパーフライ級王座に導いた。

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