【第2回】機械式時計が復権を果たす|平成元年〜平成10年(1989-1998)

機械式のニーズが高まり
各ブランドも続々と復興

 1989年から98年までの平成時代最初の10年間は、前回の記事で触れたように日本市場ではまだまだクォーツの需要が高かったようだが、高級時計の本場スイスは、立ち遅れていた製造工程の機械化が進み着実に復調の兆しを鮮明にしていた。

 スイス時計産業雇用主連盟(CP)の〝スイス時計産業における雇用状況の推移(1950〜2016)〟によると、ピーク時だった70年の雇用者数は8万9448人。それに対して2万9809人とほぼ3分の1になった87年を境に一転、徐々に上昇に転じ2016年まで右肩上がりに伸びている。つまり高級機械式時計に対するニーズが再び高まり、生産自体が増えたことを表している。まさに平成時代最初の10年間は機械式腕時計が復興に向けて加速していた、そんな時代だったわけである。

 そんな平成時代最初の10年間には、その後の時計ブームを牽引するロングセラーの傑作が登場している。

 その筆頭がロレックスの自動巻きムーヴメント、Cal.3135だ。平成元年に誕生し、同じ30年間というものロレックスの基幹キャリバーとして歴代モデルに搭載された。ロレックス史上に残る名作である。

時計市場における平成元年最大のトピックと言えるのがこのロレックスの自動巻きムーヴメント、Cal.3135の登場だ。このムーヴメントは一部マイナーチエンジされたものの平成時代と同じ30年間もの長きにわたって生産されている。そして近年、次世代機Cal.3235が発表され、平成が次の元号に切り替わるのと同様に、ロレックスのムーヴメントも少しずつ次世代機に切り替わろうとしている

 IWCは、48年から60年代まで製造され、イギリス軍にも納入された軍用時計、マークⅪの後継機として93年にマークⅫを復活。また、ポルシェデザインとの協力関係が解消された97年にはGSTシリーズを発表、新たな顔としてIWCの質実剛健さを強く印象付けた。

 80年代に再興を果たしたブライトリングも40年代から50年代の傑作、クロノマット(84年)とオールド・ナビタタイマー(85年)を復活させる。そして92年にオールド・ナビタタイマーⅡ、94年にクロノマットをフルモデルチンジ。今日のブライトリング人気を牽引した。

ゼニスのレインボーコレクションは1992年から登場したコレクションだが、このモデルはフランス空軍の協力のもと開発され、97年に登場したフライバック機能付きの高性能モデル。レインボーの名を一躍有名にした傑作だ

 ゼニスのレインボーフライバックも後年人気を博した90年代を代表する存在だ。搭載するエル・プリメロを88年にデイトナが採用したこともあって注目された。

 老舗のメゾンがスポーツ系を強化してきたのも90年代半ばである。ヴァシュロン・コンスタンタンのオーヴァーシーズやパテック フィリップのアクアノート、ほかにもブランパンのトリロジーコレクションがそれである。

さて、第3回は平成11年〜平成20年(1999-2008)について取り上げる。

【第1回】「1990年代に巻き起こった3つのムーブメント」

【第3回】個性派ブランドが牽引する|平成11年〜平成20年(1999-2008)

 

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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