ゼンマイ切れを“動き”で抑止するユニークな腕時計を発見!/PEDROZO&PIRIZ(ペドロゾ&ピリズ)

ニューヨーク建築に触発されたスイスの新鋭。
高価な設定に見合う個性派コンプリケーション

 

 2020年を迎えて間もなく、まさに新進気鋭の高級時計ブランド設立のニュースが発表された。その名もペドロゾ&ピリズ。
 エイドリアン・ペドロゾ(Adrian Pedrozo)氏が立ち上げたスイスのブランドであり、ブランド名は父親と母親の姓を組み合わせたもの。
 ブランド名の由来でもある“二重の姓”、転じて二重性は、ペドロゾ&ピリズのブランドにおいて時計作りにおける重要な指針になっているという。

 エイドリアン・ペドロゾ氏曰く、ブランドのデビュー作となるPP01は1930年代のニューヨーク建築とキネティックアート(動く美術作品)に触発されたコレクションで、ダブルフライング・トゥールビヨンを搭載したモダンなスタイリングの腕時計となっている。

 1930年代のニューヨーク建築は、それ以前とは劇的に変化したと言われる。超高層ビルに象徴されるように建物はどんどん高くなり、ニューヨーク街は幾何学的デザインの建物が並ぶこととなった。

 PP01では、こうしたアプローチからレクタンギュラーケースの、しかも極めて直線的な造形を持つケースを採用している。

 では、もうひとつのコンセプトであるキネティックアートはどこに反映されているのかといえば、それは言うまでもなくダブルフライング・トゥールビヨンだ。

 二つのトゥールビヨンはディファレシャルギア(差動機構)によりそれぞれの精度を平均化している。
 搭載する手巻きムーヴメントのパワーリザーブは約3日間だが、時計にはパワーリザーブインジケーターがない。
 しかし、非常に独創的なシステムにより、パワーリザーブが残り2時間になると、二つのフライングトゥールビヨンうち、ひとつが止まり、片方だけが駆動する。これにより視覚的にゼンマイの巻き上げタイミングをユーザーに伝えるわけだ。

 ちなみにこの個性的なムーヴメントは、ヌーシャテルとラ・ショー・ド・ フォンの間に位置するレ・ゾー・ジュヌヴェにあるル・セルクル・デ・オルロジー(Le Cercle des Horlogers)社によるもの。

 同社はクリストフ・クラーレや共振現象を二つのテンプで実現したレゾナンス機構で知られるアーミン・シュトロームとも関係が深いメーカー。 なるほど、なんともユニークな機構をもつムーヴメントというのも納得である。

ペドロゾ&ピリズの創業者であるエイドリアン・ペドロゾ氏。二重性という開発コンセプトは彼によるもののようだが、それを時計の機能として形にしたのは彼ではなく、ル・セルクル・デ・オルロジー社。同社の創業者であるクロード・グライスラー(Claude Greisler)氏は独自のレゾナンス機構を開発したアーミーン・シュトロームでも知られる人物

 

 

PP01
ペドロゾ&ピリズのファーストコレクションとして発表された個性的なダブルフライング・トゥールビヨンを搭載するPP01。ムーヴメント開発はル・セルクル・デ・オルロジー社によるが、ほかにもデザインに関してはネオデシス(NEODESIS)社、製造に関してはABコンセプト/ABプロダクト(ABConcept/ ABProduct)社と、近年注目を集める会社が名を連ねる。
■RG×TI(46.9×41.5mmサイズ)。30m防水。手巻き(ル・セルクル・デ・オルロジー社製)。 世界限定25本。15万500スイスフラン(日本円で約1700万6500円)

 

正面から見てもエッジの効いた立体的で幾何学的なデザインのケースだが、サイドから見てみるとそれがより顕著に伝わってくる。またチタンと上下のゴールドパーツが別体で組み立てられているのもよくわかる

PEDROZO&PIRIZの[語りドコロ]

1930年代のニューヨーク建築に触発されたという極めて直線的な造形を持つケースも見どころではあるが、やはり何と言ってもユニークなのは、独創的な仕組みでゼンマイ切れを抑止するダブルフライング・トゥールビヨンだ。二つのトゥールビヨンの周りにはずいぶんとスペースが確保されているが、これはトゥールビヨンをより認識しやすくするための工夫でもあるようだ。

 

●掲載価格は1スイスフラン=113円で計算し、算出
●未上陸ブランドのため、日本にペドロゾ&ピリズの正規輸入代理店はありません。

 

文◎佐藤杏輔(編集部)

 

【問い合わせ先】
PEDROZO&PIRIZ(ペドロゾ&ピリズ)
PEDROZO&PIRIZ(ペドロゾ&ピリズ)公式サイト
https://www.pedrozoandpiriz.com

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