ひょんなことから発見された、1930年代のミッキーウオッチ!

 ご存じの人も多いと思うが、世界初のキャラクターウオッチと言えば、1933年にアメリカのインガソール社が発売したミッキーマウス時計だ。

 インガソールとは、1857年創業の卓上時計メーカー、ウォーターベリー・クロック・カンパニーの時計ブランド。1893年に懐中時計の大量生産を確立した同社は、いわゆる“ダラーウオッチ”と呼ばれたように、1ドルと破格値の懐中時計を販売し大ヒットとなった。

 そんな同社に目をつけたのがウォルト・ディズニー。本人自らが子供向けミッキー時計のアイディアを持ち込んだと言われている。そして1933年にウォルト・ディズニーカンパニーより正式にミッキーマウスの版権を取得した同社は、世界初のキャラクター入り時計であるミッキーマウスウオッチをインガソール名で誕生させた。

箱に加えてギャランティーまでもが付属、しかも珍しいことにメタルの替えベルトまで付属している

 ムーヴメントはアンクル脱進機ではなく脱進機にピンを使った簡素なピンレバー方式を採用し大量生産された。ミッキーの腕が針になっているというギミックが受け、しかも子どもでも購入できる1.5ドルで販売されたこともあって発売初日に1万1000個を売り上げる大ヒットとなった。そして36年までに何と200万本も売り上げたというから驚かされる。

 さて、ここに取り上げたミッキーウオッチだが、かつてアンティークウオッチのバイヤーをしていた益井俊雄氏が、バイヤー時代の30年間に集めた800本以上もの時計コレクションを収蔵するため、故郷である島根県に時計博物館「ウオッチミュージアム ヴォガ」を2017年5月に自費で建設した。その展示品を整理しているなかで偶然見つかったもので、40年間もアタッシュケースに眠っていたという代物なのである。

益井俊雄氏が所有するロレックスやオメガなどのアンティークウオッチが800本以上も展示されている時計博物館「ウオッチミュージアム ヴォガ」

 何と箱に加えてギャランティーまでもが付属しており1930年代に作られたものだと思われる。しかもメタルの替えベルトまで付属しているというのも珍しい。なお、博物館にはこれ以外にも、たくさんの珍しい当時のキャラクターウオッチが展示されているため、このコロナ禍が収束したあかつきには、ぜひ旅行がてら立ち寄ってみてはいかがだろう。もちろん、ロレックスやオメガなどのアンティークウオッチも数多く展示しているため時計愛好家でも十分楽しめる内容だ。

ウオッチミュージアム ヴォガ TEL.0855-52-7565

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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