ドイツ時計、モリッツ・グロスマンが創業10周年で製作した二つの傑作に込められたこだわりとは

 ドイツ製高級腕時計の聖地とも称されるドイツ東部に位置し、チェコとの国境近くにある小さな街“グラスヒュッテ”。人口2000人足らずで、歩けば20〜30分で回り終わってしまうほどの小さな街にもかかわらず、名だたる高級時計ブランドが10社以上もが林立する。

 今回取り上げる“モリッツ・グロスマン”は、2008年創業とグラスヒュッテの時計ブランドのなかでは新興と言える。しかしながら、グロスマンが生み出す時計は、古典的かつ気品にあふれ、とりわけムーヴメントの仕上げは見る者を魅了してやまない美しさだ。

 これは19世紀の古典設計を継承し、ムーヴメントの90%以上を自社で製造するほど徹底してハンドメイドにこだわっているからにほかならない。それゆえ時計愛好家ほど評価も高い。

 そんなモリッツ・グロスマンから、創業10年目を記念してリリースされた意欲作、バックページとベヌー・アニバーサリーに今回注目してみたいと思う。

バックページ

Ref. MG-001396。K18RG(41.0mm径、ケース厚11.35mm)。日常生活防水。手巻き(Cal.107.0、毎時1万8000振動、42時間パワーリザーブ)。528万円

 最大の特徴は見てのとおり文字盤に大胆に設けられたオープンワークだ。しかも、ムーヴメントの表裏を反転させてセットしているため、普段であれば時計を手首から外して裏返しをしないと見られない、グロスマン特有の大きなテンプやブリッジに施されたエングレービングなど、19世紀の古典設計を再現した美しいムーヴメントの作りが、着けながらにして常に楽しむことができる点である。

 搭載する手巻きムーヴメント、Cal.107.0は理論的にはグロスマンの旗艦ムーヴメントであるCal.100.1の鏡像だが、多くの部品は新しく設計し直され、運針のメカニズムを視覚的によりわかりやすくするため、運針機構も再構築されていると言う。

Ref.MG-001642。Pt(41.0mm径、ケース厚11.35mm)。日常生活防水。手巻き(Cal.107.0、毎時1万8000振動、42時間パワーリザーブ)。世界限定18本。638万円。

 単純にムーヴメントを反転させただけではなく、見せるための演出さえもしっかりと手間を惜しまず作られている。まさに完璧さにこだわるグロスマンらしさが垣間見られる、そんな魅力的な1本に仕上がっているのだ。

 18金ローズゴールドモデルと世界限定18本のプラチナモデルの2種類がラインナップする。

ベヌー・アニバーサリー

Ref.MG-001445。K18WG(41.0mm径、ケース厚11.35mm)。日常生活防水。手巻き(Cal.100.1、毎時1万8000振動、42時間パワーリザーブ)。世界限定10本。506万円

 ベヌーは、モリッツ・グロスマンがこの世に生み出した記念すべき最初のコレクション(現在は生産終了)である。19世紀のグラスヒュッテ製懐中時計を彷彿とさせる古典的で落ち着いた造形と、手作りでしか得ることのできない仕上げの美しさは、まさにモリッツ・グロスマンが目指す時計づくりを体現する。

 限定リリースされたこのアニバーサリーモデルは、当時の意匠はそのままに、文字盤にはエナメル技法のなかでも最も高度な技術を要するブラックのグランフー・エナメルダイアルが採用された。

 そして、モリッツ・グロスマンのシンボルとも言えるロザンジュ針はブラウンバイオレットではなく、ブラックポリッシュ仕上げによって美しい鏡面に磨き上げられ、精悍さも併せもったデザインに仕上がっている。

テンプ受けには通常、洋銀(ジャーマンシルバー)が使われているが、特別に14金イエローゴールドか採用されている

 また、ムーヴメントには当時搭載されていたCal.100.0に変えて、その第2世代に当たるCal.100.1を採用。19世紀の懐中時計と同様に繊細な装飾が施されたテンプ受けには通常の洋銀(ジャーマンシルバー)ではなく、特別に14金イエローゴールドが使われているのも特筆すべき点と言える。

 気になる限定本数だが、何と世界でたったの10本という代物。全体のバランスといい、美しい独特の艶をもつグランフー・エナメル文字盤の美しさといい、506万円と高額ではあるが一見の価値ありだ。気になる人はぜひ実機を見てほしい。

 なお、これまで緊急事態宣言を受けて営業を自粛していた文京区小石川の播磨坂(はりまざか)にあるモリッツ・グロスマン ブティックだが、6月2日(火)から営業を再開する(ただし、6月いっぱいは12:00〜18:00まで)。ほかにも魅力的なモデルがあるので、ぜひ一度立ち寄ってみてはいかがだろう。

モリッツ・グロスマン ブティック TEL.03-5615-8185

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

オススメ記事

  1. 【ロレックス】通信 No.013|20万円台から買える!? ドレス系ア…

  2. なんと全部数万円で買えちゃいます! コスパ抜群のジャーマンブランド、C…

  3. 手首の細い人にも朗報。パネライのルミノール ドゥエ – 3…

  4. BRAUNクロックに新型含め計6型の新色が登場

  5. ジンの人気モデルに新色が追加

  6. 【10〜20万円台】第2回・編集部が注目した6機種を実機レビュー「ジン…

  7. SIHH 2019年 新作時計レポート【vol.01】 A.ランゲ&ゾ…

  8. 【ドイツの堅実さと洗練のイタリアデザイン】注目ブランド“DETOMAS…

人気の記事

ロレックス

国産時計

スマートウォッチ

ドイツ時計

カジュアル時計

アンティーク時計

レディース時計