菊地の【ロレックス】通信 No.087| 人気の70年代ラグスポ風ケースが新鮮!デイトジャストのオイスタークォーツとは。

 機械式時計のイメージが強いロレックスだが、かつては電池で駆動するクォーツ式時計も手がけていたことがあったことをご存じだろうか。現在はすべてのコレクションが自動巻き式となり、クォーツ式はすでに製造されていないばかりか、我々メディアもこれまであまり取り上げることもなかったため知らない人も多いかもしれない。今回はそんなロレックスのクォーツモデル、オイスタークォーツに注目してみたい。

 1969年に世界で初めて腕時計用クォーツムーヴメントの開発に成功し製品化したのは、みなさんもご存じの日本のセイコーである。実のところその時代にスイスで電気時計の研究をしていたCEH(Centre Electronique Horloger)も66年にプロトタイプを完成させていた。そして、そのCEH協力の下、スイスの時計メーカーが共同で開発した初のクォーツムーヴメントとして1970年に完成させたのが“ベータ21”なのである。ロレックスもこのベータ21採用のクォーツ式モデル“ベータクォーツ(Ref.5100)”を同年に発表。1000本ほど生産した。

スイスの時計メーカーが共同で開発した最初期のクォーツムーヴメント、ベータ21を搭載したベータクォーツは、当時は高級品として、イエローゴールドかホワイトゴールド(未確認)のモデルしか存在しなかった。Ref.5100。YG(39㎜径)/画像:アンティコルム(http://www.antiquorum.com)

 それから7年後の1977年、ロレックスは自社製のクォーツムーヴメントを完成させ、オイスタークォーツとしてデイトジャストとデイデイト、そしてチェリーニの3モデルでの展開をスタートさせたのだった。そして78年にはエベレストに登頂したラインホルト・メスナーらが着けていた時計として広告を打ち、オイスタークォーツ デイトジャスト(Ref.17000)が大々的に宣伝されたのである。そこでここでは、人気の高いデイトジャストを中心に紹介する。

 デイトジャストのラインナップは、オールスレンレスモデル(Ref.17000)と今回ここに取り上げたベゼルのみが18金ホワイトゴールド製のフルーテッドベゼルタイプ(Ref.17014)、そしてイエローゴールドとのコンビモデル(Ref.17013)の3種類がある。なお、デイデイトは18金イエローゴールド(Ref.19018)とホワイトゴールド(Ref.19019)。クォーツムーヴメントはデイトジャストがCal.5035、デイデイトがCal.5055だ。

オイスタークォーツ デイトジャスト。Ref.17014。WGベゼル、SS(35mm径)。100m防水。クォーツ(Cal.5035)。P品番(2000年頃)

 さて、ここに取り上げた個体だが、シリアルナンバーに付く製造年を表すアルファベットには“P”が刻印されており、2000年に製造された個体ということになる。つまりオイスタークォーツは2000年頃までの20年以上もの長い間生産された実はロングセラーなのだ。一時期はロレックスも全生産量の1割をクォーツモデルが占めていたこともあったようだ。

 このオイスタークォーツだが同時期のデイトジャストの自動巻きモデルと外装的にも大きな違いがある。デイトジャストよりも1mm小さい35mm径のケースを採用。しかもケースとブレスをつなぐフラッシュフィット(弓カンとも言う)が無い特徴的なケース構造を持つ(下の写真)。これは72年に登場したオーデマ ピゲのロイヤルオークのような“ラグジュアリースポーツ(通称ラグスポ)”などに見られる特徴のひとつで、ケースとブレスが一体化するように直線的に作られた70年代特有のスタイルなのだ。最近ではこのラグスポが見直され、様々なブランドからラグのない同様の構造を持つモデルが登場するなど、ある意味ではいま最もホットなスタイルと言うこともできるだろう。

オイスタークォーツのデイトジャストとデイデイトだけに採用された直線的なフォルムのケースとブレスレット。まさにロイヤルオークを思わせる70年代特有のスタイルだ。なおステンレスモデル、Ref.17000のブレスは3列タイプとなる

 気になる実勢価格だが3〜4年前なら30万円ぐらいだったデイトジャストタイプも最近の高騰のあおりを受けてなのだろう、現在は50万円前後からとなった。一方のデイデイトタイプは150万円ぐらいからだ。なお、購入の際はケースのエッジがしっかり立っていて、かつムーヴメントも機械式ではないため状態の良い、なるべく高年式のものを選んだほうがいいだろう。

オイスタークォーツデイトジャストの細部をチェック

ロゴの下に“OYSTERQUARTZ DATEJUST”と表記されている。なお、製造初期のもののなかには、12時側に“ROLEX”と“DATEJUST”だけで、6時側に“OYSTERQUARTZ”と表記されている個体もあるようだ

6時側のSWISS MADE表記。これも時期により異なる。“T SWISS MADE T”表記は1998年頃(99年とも)まで、“SWISS”表記のみは98~99年のわずかな期間にのみ製造され、“オンリースイス”と呼ばれる。そして“SWISS MADE”表記となるのは2000年以降

ブレスレットの仕様は通常のデイトジャストとは異なるが、バックル部分については一般的に用いられているシングルロックタイプを採用する

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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