かつて人気を博した90年代の時計たち! 【第6回|ブレゲ タイプ XX アエロナバル】

 ゼニスのレインボー フライバック、ブライトリングのオールドナビタイマー II と人気のクロノグラフがきたらやっぱりこれを取り上げないわけにはいかないだろう、ということで今回はブレゲのタイプ XX(トゥインティ)アエロナバルである。

民間向けとして1995年に作られたタイプ XX アエロナバル。2018年に生産終了するまで23年間ものロングセラーとなった。なお、写真は2000年以降の比較的に新しい個体

 このモデル名に付く “タイプ XX ”とは、1950年代に制定されたフランス空軍のパイロットウオッチ規格のことである。タイプ XX が52年、タイプ XXI が56年に制定された。そのため、この規格に基づいた軍用クロノグラフをブレゲのほかに、エイラン、アウリコスタ、そしてヴィクサという時計メーカー(この3社は“TYPE 20”とローマ数字ではなくアラビア数字で表記)も製造し軍に納入している。

 1954年にブレゲが開発したタイプ XX にはバルジューのCal.22に同規格の必須項目のひとつだったフライバック機構を追加したCal.222を搭載。3時位置には30分積算計を備え約2000本製造したとされる。

 その後58年には、耐磁性を強化し、さらに積算計を30分から15分に変更した改良版が新たに登場。元々はフランス海軍航空隊(=アエロナバル)からの要請で開発され、製造された約500本が同部隊に納入された。ここからブレゲのタイプ XX に“アエロナバル”の通称がついたというわけだ。
 
 ちなみに15分に変更した理由は、離陸直前に行う機体チェックに要する時間が15分と定められていたためだったらしい。

【写真】ブレゲのファースト、セカンドモデルと他メーカーのタイプXXはこちら

この写真は2000年以前の初期に生産されたタイプ XX アエロナバル、Ref.3800。蓄光塗料がトリチウムだったため飴色に焼けている。2000年頃からスーパールミノバに変更された

 さて、今回取り上げた95年に登場したタイプ XX は3世代目となる。アエロナバル名で民間向けに作られた初のモデルだ。そのためか、防水ケースにはサイドに新たにコインエッジ状の装飾を設けるなど、ベゼルや文字盤が軍用そのままのデザインなのに、無骨さはなく、どちらかというと高級クロノグラフとしての風格さえも感じる作りとなった。

 そして驚くことにこのモデルは何と2018年まで23年間も製造が続けられた。それだけ完成度が高かったということなのだろう。ムーヴメントは旧ヌーヴェル・レマニア(現ブレゲ)の自動巻きクロノグラフにフライバック機構を追加したCal.582だ。

上に掲載した初期モデルのディテール写真。(上)初期のモデルには高級感を出すためかリューズトップにゴールドが施されている (下)ブレゲのロゴのアルファベットの『 t 』の字に横棒がない。ファーストモデルから続く旧タイプのロゴが使用されているのだ

 3時位置にあるのは30分積算計だが、前述したように名前の由来ともなっているフランス海軍航空隊向けモデルに倣い、15分積算計だった当時と同じく目盛りは15になっている。つまり1目盛り2分換算というわけだ。

 2000年頃の国内定価は約80万円。それに対して並行輸入での実勢価格は40万円台半ばだったことも人気に拍車をかけたのだろう。現在のユーズドでの実勢価格は60〜70万円といったところである。

タイプ XX アエロナバル
■商品データ
生産終了年: 2018年
素材:ステンレススチールケース
ケース径:39mm
防水性:10気圧防水
駆動方式:自動巻き(Cal.582)
その他:フライバック機能付きクロノグラフ(30分積算計、12時間積算計)、
当時の国内参考定価80万8500円(2001年当時)

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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