かつて人気を博した90年代の時計たち! 【第9回|ブルガリ ディアゴノスポーツクロノグラフ】

 ブルガリが腕時計産業に参入したのは1970年代に入ってからだ。そして76年に発表されたのがローマコインをモチーフにしたど言われるブルガリ・ローマである。その翌年の77年にブルガリウオッチの象徴ともいえるブルガリ・ブルガリが初の量産型モデルとして登場した。

 そして、女性だけでなく男性をもターゲットとしたディアゴノシリーズを95年にリリース。その後もソロテンポ(97年)、レッタンゴロ(2000年)、エルゴン(04年)、アショーマ(05年)と、2000年代前半まで次々に新コレクションを投入しつつメンズのラインを拡充。時計ブランドとしての存在感を示していったのである。

ディアゴノ・スポーツクロノグラフ。クロノグラフながら35mm径と小振り。サイズはもちろんのことスポーツウオッチの無骨さがないため女性が着けても似合いそうだ

 今回取り上げるのはそんなブルガリ人気の牽引役となったディアゴノシリーズである。ベゼルの傾き(diagonal)と競技を意味するギリシャ語(Agonos)との造語らしい。いわばスポーツ系コレクションの総称として付けられたシリーズ名だ。

 ディアゴノシリーズにはスタンダードな“スポーツ”とダイバーズ仕様の“スクーバ”が存在する。スポーツには上の写真のクロノグラフのほかに3針モデルがラインナップ。意外にも35mm(3針は38mm)という小振りなサイズだった。一方のスクーバは3針タイプに加えてクロノグラフとGMTモデルの全3種類を展開。すべて200m防水でケースサイズは38mmというものだったのである。

デイアゴノ・スクーバ。特に製造初期のモデルは夜光がトリチウムだったため、経年変化でほどよく焼けているものは人気が高い

 このディアゴノという名前が男女を問わず広く認知されるようになったのは、おそらくは98年に登場したディアゴノ・アルミニウムだったのではないかと思う。このモデルは正直なところ時計好きからの評価は決して良くなかったが、ケースにアルミニウムを使い、ベゼルとプシュボタン、そしてリューズにラバー素材を組み合わせるという革新的な作りと高いファッション性から、当時女性を中心に日本で巻き起こっていた空前のハイブランドブームも追い風となって、一般ユーザーからの注目度が徐々に高まっていったように記憶している。

デイアゴノ・アルミニウム。写真は2006年にリリースされた44mmのビッグサイズ版クロノグラフ。元々のメンズサイズは38mmだった

 しかもアルミニウムが登場した1990年代後半は、ロレックスを始めとする高級時計人気も右肩上がりに上昇していた頃と重なる。ディアゴノも2002年には上位機種のプロフェッショナルシリーズを新たに投入するなど、メンズラインをどんどん充実させ、男性ユーザーへのアプローチを強めていったことも功を奏したと言えそうだ。

 ディアゴノ・スポーツクロノグラフの当時の定価は、汎用ムーヴメントながら67万2000円と決して安くはなかったものの、並行輸入での実勢価格となると30万円台後半。一方のスクーバはブレスタイプが49万3500円で実勢価格は20万円台後半とどちらも値ごろ感はそれなりにあったのだ。

 ちなみにアルミニウムは3針自動巻きで24万1500円の定価に対して10万円台半ばから後半の実勢価格と驚くほど買いやすかった。この点も人気にプラスに働いたことは言うまでもない。

ディアゴノスポーツクロノグラフ
■商品データ
型番:Ref.CH35BKSD
生産終了年:2006年頃
素材:ステンレススチールケース
ケース径:35mm
防水性:100m防水
駆動方式:自動巻き(ETA2894ベース)
その他:クロノグラフ(30分積算計、12時間積算計)、スモールセコンド、日付け表示
当時の国内定価67万2000円(2002年時点)

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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