かつて人気を博した90年代の時計たち! 【第11回|オメガ スピードマスター レーシング】

 ビビッドな赤が印象的なオメガのスピードマスター。恐らくはご存じの御仁も多いのではないだろうか。これは7度もワールドチャンピオンに輝くなどカーレースの最高峰であるF1史にその名を刻むドイツ人元F1ドライバー“ミハエル・シューマッハ”へのオマージュとして製作されたスペシャルエディションである。

 彼は1995年にオメガと契約を交わしアンバサダーに就任。それまでのF1チーム、ジョーダン-ベネトンからフェラーリに移籍した96年にこのモデルがリリースされた。

スピードマスター レーシング ミハエル・シューマッハ、Ref. 3510.61

 自動巻きの普及版スピードマスターとして88年にリリースされた、スピードマスター リデュースドをベースに文字盤カラーは写真のレッドのほかにイエローとブルーの3色がラインナップする。

 3種類の積算針(クロノグラフ秒針、30分積算計、12時間積算計)には、レッド文字盤にイエロー針。イエローとブルー文字盤はレッド針がデザイン的に採用されるなど、かなりインパクトのある配色だった。

 ムーヴメントは、ETAの自動巻きムーヴメントCal.2890-A2に、デュボア・デプラ製の2020というクロノグラフモジュールを載せた2階建構造のCal.1140がベースで、仕上げが金メッキからロジウムメッキに変更されたCal.1141を搭載。その後にETAのベースムーブメント自体がCal.2892-A2に変更されたCal.1143に移行する。

風防には強化プラスチック(ヘサライト)が使われており、少しふっくらとドーム型になっていることがわかる

 人気は圧倒的にフェラーリを彷彿とさせるレッド文字盤がダントツだった。イエロー文字盤がそれに続く。そのためユーズド市場ではこの2色はよく見かけるが、ブルーを目にすることはほとんどない。

 当時の定価は17万5000円だった。それに対して並行輸入での新品実勢価格は10万円前後と、現在の状況からするとまさに夢のような金額だったことに驚かされる。ちなみに、現在のユーズド実勢価格は20万円台半ばから後半だ。

 なお、ミハエル・シューマッハは2000年から04年まで5年連続でワールドチャンピオンに輝いたこともあり、シューマッハモデルも2000年と02年以降は05年まで毎年リリースされた。

 そしてシューマッハ自身は06年で一度第一線から引退する。オメガは、それまでに達成した7度のワールドチャンピオンという偉業を讃えてスピードマスター“ミハエル・シューマッハ” レジェンドを07年にリリース。これを最後にこのシリーズも終了となった。
 
スピードマスター レーシング ミハエル・シューマッハ
■商品データ
型番:Ref. 3510.61(赤)/3510.12(黄)/3510.81(青)
生産終了年:1999年
素材:ステンレススチール
ケース径:39mm
防水性:50m防水
駆動方式:自動巻き(Cal.1141/Cal.1143)
その他:クロノグラフ(30分積算計、12時間積算計、クロノグラフ秒針)、スモールセコンド(3時位置)
当時の国内定価:17万5000円(税抜き)

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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