【注目を集める独立時計師】浅岡肇氏の時計ブランドが海外オークションで高値落札

 浅岡肇氏はスイスに本部を置く国際組織“独立時計師アカデミー(AHCI)”に所属し、高級腕時計を部品の一つひとつから伝統的な方法で作ることができる世界有数の時計師である。設計から組立までにいたるほぼ全工程を氏自身が行うメインブランド“ハジメアサオカ”の時計は、海外の時計愛好家からも高く評価されており、また年間製造本数も限られていることから、手に入れるまでに数年待ちという状態だ。

 そこでサブブランドとして立ち上げたのが2つのクロノトウキョウ(国内市場向けの「CHRONO TOKYO」と海外市場向けの「KURONO BUNKYŌ TOKYO」)である。そのコンセプトは氏の時計を手の届く価格で提供すること。同ブランドの時計は、デザインを氏自身が手がける一方で、製造を外部に委託、そして国産の汎用ムーヴメントを使用することで低価格化と供給数の増加を実現した。
 シンプルな3針モデルで約20万円という価格から購入できるが、その外装クオリティはプロダクトデザイナーとしても活躍する氏のこだわりが発揮されており、価格以上の仕上がりだ。ハジメアサオカの時計と同様に、先端が手作業で曲げられた針や歪みのない鏡面仕上げのケースなど、スイス高級腕時計の伝統的なディテールを備えている。

 そんな“KURONO BUNKYŌ TOKYO”の時計が2021年末、海外のオークション市場を賑わせた。11月のアンティコルムに出品された時計が定価の3倍、さらに12月のクリスティーズでは定価の6倍という高額落札が続いたのだ。

 

KURONO BUNKYŌ TOKYO MORI:森
(2021年12月クリスティーズにて1万1250USドル(約130万円)で落札)

■Ref.CB002M。SS (37mm径)。3気圧防水。自動巻き(Cal.MIYOTA 90S5)。限定288本。2020年当時の発売価格は1790USドル(約20万円)

 2020年、時計界のオスカーとも呼ばれるスイスのジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)においてチャレンジ部門にノミネートされたモデルである“MORI:森”が、クリスティーズオークションにて定価の6倍以上の価格で落札。なお、同オークションでは“グランド:茜”や“クロノグラフ2”も出品され、これらも“MORI:森”同様に定価を大きく上回る価格で落札されている。

クリスティーズ MORI:森の落札結果を見る

 

KURONO BUNKYŌ TOKYO クロノグラフ2
(2021年11月アンティコルムにて1万625スイスフラン(約132万円)で落札)

■Ref.CB012K。SS (38mm径)。3気圧防水。自動巻き(Cal.SII NE86)。限定500本。2021年当時の発売価格は41万8000円

 11月のアンティコルムオークションにおいて3倍以上の価格で落札された“クロノグラフ2”。浅岡氏の時計が国際的なオークションに出品されたのはおそらく同オークションが最初である。なおこの“クロノグラフ2”は限定500本で販売され、予約開始後わずか3分30秒で完売したモデルである。

アンティコルム クロノグラフ2の落札結果を見る

 

 また同氏のブランドの時計は、こうした国際的なオークション以外にもChrono24などのセカンダリー市場で定価を上回る価格で取引されており、この事実こそ、ブランドの成功を証明している。日本の製造業が高級ブランドとして認知されたモデルケースと言えるだろう。
 なお、KURONO BUNKYŌ TOKYOはオークションやセカンダリー市場で高値取引されているものの、ブランドとしては欲しい人にきちんと行き渡るような取り組みを行っていることが見受けられる。事実、“クロノグラフ2”の注文状況を受けて、その後発売された“TOKI:朱鷺”では購入希望者全員の予約を受け付け、さらに同年発売の“HAGANE:鋼”においては時計ボックスにネームを入れるなど転売対策も実施している。
 浅岡氏のインスタグラムアカウントによると、2022年も同ブランドから様々なモデルが出ることが示唆されているため、定期的にチェックして新作の情報を見逃さないでほしい。

 

文◎堀内大輔(編集部)

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