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美しい時計なのに注目されない。チェリーニはいまおいくら?|ロレックス通信 No.157

チェリーニ デュアルタイム。6時位置のサブダイアルで第2国の時刻を表示する。9時位置の小さな小窓は現在時刻の昼夜を判別するナイト&デイ機能

 今回は作りこそものすごく良いのにほとんど注目されない“チェリーニ”を取り上げてみたいと思う。

 おそらくチェリーニと聞いても、我々専門メディアも含めて、ほとんど記事として取り上げられることがないため、どんなモデルか知らない人も多いのかもしれない。そこでまず簡単にチェリーニコレクションについて触れておきたい。

 チェリーニは1976年に手巻きのドレスウオッチとして登場。それ以降ロレックスのラインナップには、デイトナやデイトジャストなどが属し、100m防水以上の優れた防水能力を備えたオイスターケースに自動巻きムーヴメントを採用するオイスターコレクションと、それを採用せず、しかもすべてのラインナップがゴールド仕様で、手巻きムーヴメントを搭載するドレス系ライン、チェリーニコレクションの大きく二つで構成されていた(と言ってもオイスターが大半を占めた)。ちなみに名前は16世紀のイタリアで活躍した彫金家かつ彫刻家でもあったベンベヌト・チェリーニに由来するらしい。

 そんなチェリーニコレクションだが、ドレス系かつモダンな雰囲気の強いデザインがかつては多かったこともあって、歴史の古いオイスターコレクションに対して注目されることはほとんどなかった。それが2014年のフルモデルチェンジでそのテイストを一新。細身のインデックスやダブルベゼルを採用してクラシカルな印象をぐっと高めて登場したのだった。

 もちろん、ケース素材に採用したのはエバーローズゴールドとホワイトゴールドのみ。またムーヴメントも手巻きから自動巻きに変更し実用性も高めた、まさに大人のドレスラインとして生まれかわったというわけである。

 ラインナップは、ここに取り上げたセカンドタイム表示付きのチェリーニ デュアルタイムのほか、デイトモデルと3針、そしてムーンフェイズの4種類が展開された。

 ただ、モデルチェンジ後も圧倒的な支持を受けるオイスターコレクションには遠く及ばなかったのだろう。2021年に後発だったムーンフェイズだけを残してすべて生産終了となってしまったのである。

 筆者はかつて、記事を書くためにこのデュアルタイムとムーンフェイズの実機をじっくり見たが、とにかくさすがにロレックスと感心させられるほど、よく作られていると感じた。唯一の欠点はよく見ないとロレックスとわからないところか…。もしドレスウオッチの購入を考えているのであれば、選択肢のひとつに加えてみてはいかがだろう。

 さて、現在の実勢価格を調べると、新品で230万円ぐらい、ユーズドだと180万から200万円ぐらいで流通している。ただ、ユーズドと言っても恐らくはあまり使用されていないものが多いと思われるため、その点からすると狙い目なのかもしれない。

【写真】チェリーニ、そのほかのラインナップをチェック!

チェリーニ デュアルタイム
型番:Ref.50525A
素材:18金エバーローズゴールド
ケース径:39㎜(リューズを含まず)
ケース厚:12㎜
防水性能:50m
駆動方式:自動巻き(Cal.3180/耐磁性ブルー・パラクロム・ヒゲゼンマイ採用)
機能:デイ&ナイト表示付きセカンドタイム表示
2020年8月の参考定価205万3700円

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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