レビュー記事 ロレックス @kikuchiのいまどきの時計考

【ロレックス】通信 No.066|あえて狙うもありか! チェリーニ ムーンフェイズ|実機レビュー

 当連載66回目にして初のチェリーニの話題である。ロレックスだけにドレス系とは言えそのクオリティの高さはみなさんもおわかりだとは思うのだが、どうもロレックスとなるとベクトルは常にスポーツ系を指してしまう。そのため話題にのぼることは極めて少ない。かく言う我々時計専門媒体も然りなのである。

 そこで2週にわたってこのチェリーニコレクションについてお届けしたいと思う。今回は2017年にコレクションに加わったムーンフェイズだ。

 その前にチェリーニコレクションについて触れておきたい。100m防水以上の優れた防水能力を備えたオイスターケースを採用するオイスターコレクションに対して、それを採用せず、しかもすべてのラインナップがゴールド仕様で、手巻きムーヴメントを搭載するドレス系ラインである。

チェリーニ ムーンフェイズ。Ref.50535。K18エバーローズゴールド(39mm径)。50mm防水。自動巻き(Cal.3195、毎時28,800振動、約48時間パワーリザーブ)

 それが2014年にフルモデルチェンジされ、ドレス系でもクラシカルなデザインに変わり、さらにすべて自動巻きムーヴメントが搭載されるようになった。現在はチェリーニ タイム、チェリーニ デイト、チェリーニ デュアルタイム、そして今回取り上げたチェリーニ ムーンフェイズの4種類がラインナップする。 

 さて本題、このチェリーに ムーンフェイズ、月の満ち欠けを視覚的に表現したいわゆる月齢表示を備えたモデルなのだが、特徴的なのは、その仕組みである。

 満月から新月、そして満月に至るまでの周期を朔望月(さくぼうげつ)と呼ぶが、そのひとつの周期には29日と12時間44分3秒かかる。それを歯車で表現する機械式時計の場合は、端数の44分3秒を切り捨てて大さっぱに29.5日とし、さらに歯車の歯数に0.5を設けることは不可能なため、その倍数である59日として、59個の歯を備えた歯車でそれを表現するというわけだ。つまり、よくある一般的なムーンフェイズ機構の場合は、月の周期で言うところの2朔望月でディスクが1回転する仕組みとなっているのはそのためである。

1朔望月で1周する超高精度ムーンフェイズ機構

 一方、ロレックスのそれは、2朔望月でなく、本来の1朔望月で1周するというのが新しい。そのため満月だけでなく新月もしっかりと描かれている。

 美しいエナメル製のムーンディスクにある満月にはメテオライト(隕石)が使われており、新月はシルバーリングでシルエットだけの月でシンプルに表現されている。メテオライトがちょうど三角のインジケーターに差し掛かったときが満月となる。今回デイト表示は三日月形の専用の指針で日付けを指し示すポインターデイトが採用されている点も新しい。

 なお、一般的なムーンフェイズ機構の場合は、先に述べたように44分3秒を切り捨てているため、実際の朔望月とは毎回その分だけの誤差が生じる。その誤差の累計は2年半で約24時間になるため定期的な調整が必要となるのだ。しかしながらこのモデルは122年間調整が不要となっている(最近は他社からも出ているため驚く数字ではないが)。

39mm径とケースサイズは程よいサイズ感だが、厚さは13mm以上と薄くはない

 さて、実際に着けてみたが、39mm径とケースサイズは程よく、外装もベゼルなどはドーム形とフルーテッドの2段使いでだいぶこった作りなのがわかる。また、ムーンフェイズに加えてポインターデイトというのもロレックスではとても新鮮で雰囲気的にはとてもいい感じだった。

 マイナス点をあえて挙げるならば、ムーンフェイズ機構のせいかケース厚は13mm以上とドレスウオッチにしては厚い。加えてこれは筆者だけが感じることかもしれないが、バーインデックスを分断させて設けられたミニッツサークルをなくして、そのぶん文字盤にさりげなくギョーシエ装飾にするか、さもなくば05〜55までの数字だけでもないほうがクラシカルでさらによかったように感じた。

 国内定価は283万300円。有名老舗メーカーのドレスウオッチに比べるとむしろ安いぐらいの価格設定なのではないか。これが並行輸入店だと260万円台といったところ。この価格にちょっとプラスするとデイトナが買えてしまうため、ロレックス内で比べるのは難しいが、あくまでもドレスウオッチとしての視点から他のメーカーも含めて検討するのであれば、クオリティと価格的バランスからしても一考の価値はあると思うのだがいかがだろうか。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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