『コロナに負けるな』をテーマに作られたクロック(置き時計)。その近未来的な美しさと独創性に秘められた想いとは!

 たまにはため息ものの最新のクロックを取り上げてみたいと思う。これはロシア、サンクト・ペテルブルクの独立時計師、アントン・スハノフ(Anton Suhanov)の新作 “ロータス・クロック”である。

 アントン・スハノフは、ユニークかつ独創性に富んだ「ジョーカー」で一躍世界的に注目を浴びた、同じくロシアの独立時計師“コンスタンチン・チャイキン”の下で2007年から18年まで製造部門のディレクターを務めた人物だ。
 
 そして16年、アントン・スハノフはバーゼルのウオッチメイキング・コンテストで優勝。独立して19年に自身の工房を設立し、ファーストモデル “PHAROS(ファロス)、テーブル・クロック”を発表した。灯台を模したそれは本体上部に3Dトゥールビヨンを搭載するというもので、その独創性と技術力の高さに注目が集まった。

花が開くと中から複雑機構の極みである3Dトゥールビヨンが現れる

 そして今回の最新作はその独創性がさらに際立った作りとなっている。“ロータス・クロック”、つまり古代より神聖なシンボルである「ロータス(ハス)」がテーマだという。これは新型コロナウイルスによって人類が深刻な脅威に直面していることを受け、ハスのもつ驚異的な生命力や泥沼で生まれながらも美しい花を咲かせる、そんなハスのように、人類がすべての困難を克服してほしいという願いから製作された。

 このロータス・クロックだが、メインのムーヴメントはワールドタイムが表示されている丸くてフラットなスタンド本体の中に隠されており、長く細い茎に付いたハスを模したメカニカルな花のつぼみは、中央のディスクの矢印で示されているホームタイムの時間に応じて、日中は開花し、夜は閉じるという驚きの仕掛けが施されている。その時間は未確認だが、よくある時計のナイト&デイ機能に従えば18時頃から徐々に閉じ始めて、翌朝6時くらいにかけてゆっくりと開いていくイメージなのかもしれない。

下の部分にムーヴメントが納められ、24時間計が備えられ、矢印が日中の時間帯のときにつぼみが開く

 また、つぼみの中には3Dトゥールビヨンが納められたガラス製ドームがあり、しかもこれは、秒表示も兼ねており、まるで蝶が飛び回っているような3Dトゥールビヨンの立体的に回転する様が楽しめるという。

 価格は税別予価で840万円。さすがにおいそれと手の出せるレベルにはないが、リモートワークのため家で仕事をすることが多いいま、こんなクロックがあったら、さぞかし気分も癒されるだろうなと思うのである。ま、時計好きだけかもしれないが……。

ノーブルスタイリング TEL.03-6277-1604

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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