ドイツ時計

【A.ランゲ&ゾーネ】創業者へのオマージュを込めた“1815ファミリー”の魅力に迫る

 今日、A.ランゲ &ゾーネのラインナップは、新生なったブランドのアイコンとして生み出された“ランゲ1”、革新的な機械式デジタル表示を採用する“ツァイトヴェルク”など、それぞれが個性際立った6つのプロダクトファミリーで構成されている。

 そのひとつである“1815”は、19世紀半ば、ドイツのグラスヒュッテに時計産業を興した立役者で、ブランド創業者であるフェルディナント・アドルフ・ランゲが残した数々の功績に敬意を表し、その誕生年を冠したプロダクトファミリーだ。

フェルディナント・アドルフ・ランゲ

 F.A.ランゲの目指した時計作りの理想を反映した同ファミリーに共通するのは、かつてのランゲ製懐中時計のデザイン要素を多く取り入れた、控えめながらも上品にまとまったダイアルデザインであろう。
 例えば判読性の高いアラビア数字のインデックスやブルースチール針、中央部分を1段低くした文字盤、スモールセコンド、そしてレイルウェイ風の目盛りなどのクラシックなディティールは、1815ファミリーで多く見られるデザイン要素だ。

1815はかつてのランゲ製懐中時計に思わせるデザインを踏襲している

 1815ファミリーは現在、15を超えるモデルが展開されているが、今回はそのなかから、代表的な3モデルを厳選して紹介する。

 

1815

■Ref.235.032。K18PG(38.5mm径)。日常生活防水。手巻き(Cal. L051.1)。327万8000円

 ランゲ一族に継承されてきた時計作りの伝統を体現し、昔年のランゲ製懐中時計を彷彿とさせる要素を随所に取り入れたベーシックな3針モデル。文字要素を必要最低限に留めて優れた視認性を確保しながらも、38.5mm径の小振りなケースを採用しており、凝縮感のあるダイアルデザインにまとめられている。

 

1815アニュアルカレンダー

■Ref.238.032。K18PG(40mm径)。日常生活防水。手巻き(Cal. L051.3)。592万9000円

 レイルウエイ風の目盛りやアラビア数字インデックスなどシリーズに共通する意匠を備えながらも、アニュアルカレンダーとムーンフェイズ表示を加えた複雑モデル。今日、同社におけるアイコン的機構となっているアウトサイズデイトではなく、昔ながらのポインター式のデイト表示を採用したクラシックな雰囲気が魅力となっている。またケースは10.1mm厚と複雑モデルとしては着けやすいサイズ感を実現した。

 

1815ラトラパント

■Ref.425.025。Pt(41.2mm径/12.6mm厚)。日常生活防水。手巻き(Cal.L101.2)。限定200本。時価

 2022年7月に発表されたばかりの1815ラトラパントもこうしたデザイン要素を踏襲しつつ、複雑機構である“ラトラパント”、つまりスプリットセコンド・クロノグラフを搭載した最新作である。1000mタキメーター目盛りや30分積算計(12時位置)、スモールセコンドと、文字盤内に多くの表示要素を備えるが、決して煩雑さを感じさせないのは、同社の卓越したデザインセンスゆえだろう。

 

1815アップ/ダウンに搭載されるCal.L051.2

 またF.A.ランゲへのオマージュは、ダイアルデザインのみならず、ムーヴメントにも見て取れる。素材の特性を生かした洋銀製4分の3プレート、ブルースクリュー、ビス留め式ゴールドシャトンなどは昔年のランゲ製懐中時計に見られるもので、これがグラスヒュッテの伝統として根付いていった。
 これらの伝統の要素と現代の時計師の技能が融合し、総合芸術作品として生み出されているのが1815ファミリーなのだ。

 

【問い合わせ先】A.ランゲ&ゾーネ TEL.0120-23-1845
https://www.alange-soehne.com/

 

文◎堀内大輔(編集部)

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